IEEE802.1Qと呼ばれる技術を使ってLANスイッチ同士を接続(トランク接続)し,複数のVLANからなるネットワークを構築している。以下のVLANのネットワーク構成で,PC1からPC3へ通信した場合について,正しく説明しているものを選択肢から一つ選びなさい。なお,それぞれのPCに装着しているLANアダプタにIEEE802.1Q機能はないものとする。

VLANを使ったネットワークの構築

[選択肢]
a. PC1は通常のタグなしフレームを送信し,LANスイッチAでVLAN10を示すタグを付けてLANスイッチBへ転送する。LANスイッチBはタグを外してPC3へ送信する
b. PC1はVLAN10を示すタグを付けてフレームを転送し,PC3はタグの付いたフレームを受信してタグを外す
c. PC1からPC3への通信では,通常のタグなしフレームでエンド・ツー・エンドのVLAN通信が行われる
d. PC1はVLAN10を示すタグを付けてフレームを転送し,LANスイッチAはタグを外してLANスイッチBへ転送する。LANスイッチBはタグなしフレームをPC3へ送信する
e. PC1は通常のタグなしフレームを送信し,LANスイッチAでVLAN10とVLAN20を示すタグを付けてLANスイッチBへ転送する。LANスイッチBはVLAN20のタグを取ってPC3へ送信する

[解説]
 問6の正解は,選択肢aの「PC1は通常のタグなしフレームを送信し,LANスイッチAでVLAN10を示すタグを付けてLANスイッチBへ転送する。LANスイッチBはタグを外してPC3へ送信する」です。

 複数のLANスイッチをまたいでVLANを構成する場合は,パケットにVLANを識別する情報を付けてやりとりする「タグVLAN」を使います。タグVLANでは,IEEEの標準規格であるIEEE802.1Qと呼ばれる技術を使うのが一般的です。VLANはLANにおける定番技術であり,導入する際には,タグVLANの概念や動作のしくみを知っておく必要があるでしょう。

 問題のネットワークは,それぞれのLANスイッチに,VLAN10とVLAN20が設定されています。同一のVLANに所属するマシン同士(PC1とPC3およびPC2とPC4)で通信するには,VLAN10のトラフィックとVLAN20のトラフィックを運ぶため,それぞれのVLANに所属した専用のリンクが必要になってしまいます。そこで,リンク上でやりとりするフレームに「このフレームはどのVLANに所属するか」を示すタグ情報を付加することで,1本のリンクで複数のVLANのデータをやりとりできるようにします。

 PC1からPC3への通信の流れは以下のようになります。

 問題文にあるように,PC1が出すLANアダプタにIEEE802.1Q機能はないため,PC1はタグなしのパケットを送り出します。このパケットを受け取ったLANスイッチAは,これがVLAN10に所属するマシンからのパケットと判断してパケットにVLAN10を示すタグ情報を付加してLANスイッチBへ転送します。このパケットを受け取ったLANスイッチBは,タグ情報からVLAN10のパケットであることがわかります。そこで,VLAN10に所属するPC3に,タグ情報を取ってパケットを転送します。

 以上より正解は,選択肢aであることがわかります。