写真1●米ヒューレット・パッカードのコンテナ型データセンター「HP Performance Optimized Data Center(POD)」
写真1●米ヒューレット・パッカードのコンテナ型データセンター「HP Performance Optimized Data Center(POD)」
[画像のクリックで拡大表示]

 グリーンITの対象が,建物を含めたITインフラ全体や企業の事業活動にまで広がり始めた一方で,これまでの“主役”だったデータセンターにも大きな波が押し寄せている。最初から大きな設備を用意するのではなく,サーバーの台数が増えるのに応じて設備を増強する,「モジュラ型データセンター」という考え方だ。

 その代表格がコンテナ型データセンター。コンテナの内部に,ラックや空調機を組み込んだ小型のデータセンター設備である。2008年になって,大手ITベンダー数社が製品を発表している。

 米ヒューレット・パッカード(HP)もその1社だ。2008年7月に「HP Performance Optimized Data Center(POD)」を発表(写真1)。早ければ年内にも国内での提供を開始する計画だ。

コンテナ型データセンターも日本で組み立て,出荷

写真2●米ヒューレット・パッカード スケーラブル・コンピューティング&インフラストラクチャ事業のケネス・リンド プロダクトマネージャ
写真2●米ヒューレット・パッカード スケーラブル・コンピューティング&インフラストラクチャ事業のケネス・リンド プロダクトマネージャ
[画像のクリックで拡大表示]

 製品マーケティングを担当するケネス・リンド プロダクトマネージャは,「もちろん,データセンターすべてがコンテナ型に入れ替わるわけではない」という(写真2)。しかし同氏は,日本市場では受け入れられるのではないか,と推測している。

 その理由は二つある。まず,エネルギー効率が非常に高いこと。「エネルギー効率の指標であるPUE(エネルギー利用効率)は1.2~1.25だ。通常のデータセンターでは,良い値でも1.7程度までだろう」とリンド氏は自信を見せる。

 コンテナ内部は,中央のラックの列を挟んで「ホットアイル」と「コールドアイル」が分かれた設計になっている。サーバーが背面のホットアイルに排出した熱気を,上部にある空調機が吸引。冷却してコールドアイルに送り出す。

 リンド氏が日本で受け入れられると考えるもう一つの理由は,設置スペースが小さいことだ。コンテナの長さは40フィート(約12.2メートル)。この中に最大3520のノードが収容できるという。ラックあたりの消費電力は27kWである。小さなスペースで多くのIT機器を動かすことができる点が,日本向きというわけだ。

 また,「通常,データセンターを建築しようとすると1年半はかかる。HP PODは6~8週間で納入可能だ。日本市場に投入する場合も,日本でHP PODの中にIT機器を組み込んで出荷する体制を整えるつもりだ」と,リンド氏は明かす。