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情報教育にコンピュータを使わない手法とは夏休みになって,様々な企業が子ども向けのイベントを開催している。富士通では2008年8月2日,「富士通キッズイベント2008 夢をかたちにするしくみ」を開催した。小学4年生から6年生を対象に,コンピュータ科学を学ぶ催し物である。これがあまたある「パソコンで遊ぼう」といった,他のイベントと一線を画しているのが,情報教育なのにコンピュータを一切使わないという手法を取っているところだ。筆者は,子どもたちの学びの現場を知るため,イベント・スタッフの一員として体験取材を行った。
合言葉は「アンプラグド」
写真1●『コンピュータを使わない情報教育』
イーテキスト研究所,本体価格1500円
Tim Bell,Ian H. Witten,Mike Fellows著,兼宗 進監訳
日本国内では,監訳者である一橋大学 総合情報処理センターの兼宗 進准教授が中心となり,情報教育で先進的な試みをしている全国の小・中・高校の教諭が,自分たちの授業に同書の教育手法を取り入れて,徐々に普及してきた。情報教育の関係者の間では「アンプラグド」というキーワードは,この種の体験型情報教育の合言葉になっている。 これまで翻訳書の発行から1年間で,アンプラグドが学校授業に取り入れられてきたが,今回の富士通のように,IT企業のCSR(企業の社会的責任)活動で積極的に利用されたのは初めてのケースである。富士通が同手法をイベントに取り入れた理由として, 同社コーポレートブランド室担当部長 及川幸一氏は,「アンプラグドの手法が,コンピュータ科学の基礎的なところを子どもたちに理解してもらうのに有効と考えました。それが最終的には社会貢献につながってくれればいいと考えます」と語る。 また,同イベントは,情報オリンピック日本委員会(JOI)との共催の形を取り,企画の立案・実施の支援を受けている。同委員会の理事長である守屋悦朗 早稲田大学教授は,「情報教育というと,プラットフォームがあり,アプリケーション・ソフトがあり,といったことが先行してしまい,表計算ソフトやワープロ・ソフトの使い方を教えるだけで終わってしまう学校もあります。しかし,アンプラグドは,ハードウエアやソフトウエアのしがらみを取り払ったところで,コンピュータ科学の本質的なところを,しかも体験的に学ぶことができます」と語る。JOIとしては,少しでもコンピュータを面白いと思ってくれる子どもを増やすことにつながればと考える。アンプラグドのキーパーソンである兼宗 進氏が,情報オリンピック日本委員会のジュニア部会を担当していることもあり,この日のイベントには,アンプラグドの手法に賛同する数多くの学校教諭や大学関係者がボランティアで駆け付けた。
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