「UMPC」や「MID」はノート・パソコンとも携帯電話/スマートフォンとも位置付けが違う新しいタイプの端末である(図1)。とりわけ開発に積極的なのが台湾メーカーだ。2008年6月に台湾で開催されたハイテク展示会「COMPUTEX TAIPEI 2008」では,台湾のアスーステック・コンピュータ(ASUS),台湾エイサー,台湾ギガバイト,台湾MSIなどがUMPC/MID製品を出展。来場者の目を釘付けにした。

図1●携帯電話の携帯性とノート・パソコンの汎用性を併せ持つUMPCとMID<br />しかも大半の製品は数万円という格安価格で販売される。
図1●携帯電話の携帯性とノート・パソコンの汎用性を併せ持つUMPCとMID
しかも大半の製品は数万円という格安価格で販売される。
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 端末の外観は,UMPCが折りたたみ型のモバイル・ノート・パソコンに,MIDはスマートフォンに近い。どちらも,高速モバイル・データ通信と,それを介して利用する様々な“ネット・サービス”の存在を前提としている。パソコンに匹敵する処理能力,パソコンと同じアプリケーションを利用できるプラットフォーム,そして無線LANやHSDPA(high speed downlink packet access)といった通信機能を装備。「Gmail」をはじめとするメール・サービスや「YouTube」のような動画共有サイト,「Googleマップ」などの地図情報サービスを“いつでも,どこでも”使いこなせる(図2)。

図2●多くのUMPC/MIDは動画共有や地図情報,SNSなど,各種ネット・サービスの利用を前提としている
図2●多くのUMPC/MIDは動画共有や地図情報,SNSなど,各種ネット・サービスの利用を前提としている
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 しかも大半の製品は,価格が数万~10万円程度で既存のモバイル・ノート・パソコンよりも安い。こうした点が,まだパソコンに最適化されたネット・サービスを快適に使えるとは言えない携帯電話やスマートフォン,携帯性が十分ではないノート・パソコンと一線を画すところだ。

開発ラッシュのきっかけはEee PCとAtom

 新型モバイル端末の口火を切ったのはASUSのUMPC「Eee PC」シリーズ(写真1)。Eee PCは2007年10月の発売以来,全世界でヒット商品になっている。2008年度はシリーズ合計で300万台の販売を目指し,「現在,目標の数字を順調に達成している」(ASUS)という。これを追って,他の台湾メーカーも対抗製品を次々に発表した。エイサーの「Aspire one」(写真2)やMSIの「Wind NoteBook U100」(写真3)がそれだ。

写真1●アスーステック・コンピュータの「Eee PC 901」
写真1●アスーステック・コンピュータの「Eee PC 901」
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写真2●エイサーの「Aspire one」
写真2●エイサーの「Aspire one」
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写真3●MSIの「Wind NoteBook U100」
写真3●MSIの「Wind NoteBook U100」
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