個人宅から個人宅への配送サービス「宅配便」を開発して30年以上になるヤマト運輸。競争の源泉になる新サービスは、IT(情報技術)の上に成り立っているものが多い。
CIO(最高情報責任者)を務める常務執行役員の金森均氏は、「新サービスをいかに早く投入できるかが競争に勝つ鍵」だと話す。数年おきにセールスドライバーの業務を支援する基幹システムである「nekoシステム」を刷新し、顧客へのサービス向上と業務改革の柱として取り組んできた。
2005年に120億円を投じた6世代目の「次世代システム」が稼働したが、既に7代目システムの構想を始めている。「今回策定した2010年度までの新3カ年の中期計画(「満足創造3か年計画」)を実現できるような仕掛けを考えなければならない」(金森常務執行役員)。7代目システムで力を入れる領域の1つは、ライバル佐川急便に比べて後れを取っている法人顧客対応の仕組みという。
新サービスを開発するうえで、「こういうのがあったらいい」とか、「顧客が喜ぶだろうな」という現場のセールスドライバーの気づきを吸い上げることを重視している。「いまあるサービスについても考え直すくらいに、全員が感度を上げて追求しなければならない」(金森常務執行役員)
現場の気づきを生かし新しいサービスを企画しても具現化に時間がかかり過ぎては意味がない。「経営陣から求められることの中で一番重要視されることが、実現までのスピード」と金森常務執行役員は言い切る。ITベンダーにプロジェクト期間を見積もらせる際には、システム構築に必要な工数を積み上げた期間ではなく、サービス開始時期から逆算して考えるように求めている。
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