香川県は,県のWebサイトにオープンソース・ソフトウエアで構築した「CMS(Contents Management System:コンテンツ管理システム)」を2002年4月導入し,コンテンツをデータベースで管理している。もともとWebページ制作を効率化するために導入したシステムだが,結果的に業務に伴うCO2排出量を約90%削減することができた。

 香川県は,電子自治体ランキング(摂南大学が実施)で毎年上位にランクされるなど,行政サービスや県庁内業務の電子化に積極的に取り組んでいる。Webサイトの立ち上げも早く,1996年には観光地案内が中心とした情報提供を開始し,現在は月間22万以上のアクセスがある(図1)。行政関連ニュースやイベント情報,生活に密着した各種情報などのコンテンツは増加する一方で,Webサイトの効率的な運営が課題になっていた。

図1●香川県のWebサイトのトップ画面
図1●香川県のWebサイトのトップ画面
月間のアクセス数は22万以上。Webサイトの情報をまとめたメールマガジン「メルマガかがわ」も週1回配信しており,2008年3月28日現在の登録者数は3132人
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 「行政ニュースをはじめとする各種の情報は,県庁内の50以上ある部署から毎日のように発信される。Webサイトに掲載する情報の選定からHTMLデータの作成に至るまで,各部署のサイト担当者が担当していたため,その負荷を軽減することが最大の課題だった」(香川県総務部広聴広報課の富田一企氏)。多忙な部署では,報道向けの記者発表資料がWebサイトにアップされるまでに数日かかることがあり,情報公開のスピードアップも課題だったという。

OSSで固めたコンテンツ管理システムを構築

 香川県が構築したCMSは,Webページのタイトルや本文,抄録,画像などの部品をデータベースに保存して管理している。ユーザー(県庁職員)は,自分の業務用PCからシステムにログインし,テキストを貼り付けたり,画像や表などの部品を組み合わせるなどの簡単な作業でWebページを作成できる(図2)。

図2●CMSのページ登録画面
図2●CMSのページ登録画面
作成日や公開期間を入力し,記事タイトル,抄録,記事本文などのテキストを貼り付けていく
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 開発を担当したのは,富士通香川システムエンジニアリング(現・富士通四国システムズ)。データベース管理システムに「PostgreSQL」,サイトを動的に生成するスクリプト言語にはRubyを採用するなど,オープンソース・ソフトウエア(OSS)を利用してCMSを構築した。OSSで固めた主な理由は,コストを抑えるため(県の予算は約500万円)。試行錯誤を経て,2002年4月にシステムが稼働。同時にメールマガジンを配信する「メルマガかがわ」,県政に対する意見や要望を掲載する「県民の声データベース」もオープンさせた。

 「導入後,週に数件程度だったWebサイトの更新頻度が,1日10件以上となり,情報数は格段に増えた。また,情報公開のスピードが速くなったという県民の声も聞かれるようなった」(富田氏)。