最後に,記録メディアを加熱することで,データを破壊できるかどうか,二つのパターンで検証した(図5)。200℃に予熱したオーブンレンジの中で,3種類の記録メディアを30秒間(実験M),もしくは4分20秒間(実験N),加熱した。後者の時間が中途半端なのは,その時点で記録メディア(テープ・カートリッジ)から煙が発生したため,加熱を中止したことによる。

図5●記録メディアを加熱する実験の条件
図5●記録メディアを加熱する実験の条件
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 オーブンレンジで加熱すると,記録メディアは素手では持てないほど熱くなる。そこで,オーブンから取り出した後,部屋の中に放置した。約半日かけて熱を冷ました後に,復旧作業に着手した。

 結果は,記録メディアの種類によって異なった。テープ・カートリッジとCD-Rに対しては,データ破壊に加熱が有効だった。(N)ではデータを全く復旧できず,データ破壊に100%成功した。ところが,USBメモリーでは加熱がデータ破壊につながらなかった。特別な復旧作業をするまでもなく,すべてのデータを読み出せたのである。以下,(M)(N)の検証結果を詳しく見ていく(表3)。

表3●加熱によりデータを破壊できたファイル容量の割合および復旧作業
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表3●加熱によりデータを破壊できたファイル容量の割合および復旧作業