リコーの三浦善司取締役 専務執行役員は、CIO(最高情報責任者)としては異色のキャリアの持ち主だ。海外勤務と経理・財務畑が長く、オランダ勤務時代には英仏の販売会社の買収や経営統合に携わった。1997年末に日本に戻り、以後は主に経理・財務や経営企画のキャリアを重ねてきた。
一見、CIOとは縁遠いキャリアに映るが、実は若手時代からシステム導入を経験していた。1980年ごろ、手作業による会計業務を行っていたヨーロッパの現地法人をシステム化する機会に恵まれたのだ。
この過程で、業務プロセスを標準化して効率化することの大切さを学んだという。「皆が同じ手順で業務をできるようにしてからITを導入すれば、投資に見合う効果が得られる。IT化と標準化は一体であり、IT化は業務改革そのものだ」(三浦取締役 専務執行役員)
業務の標準化とIT化によって、国内の体制を1つにまとめた最近のプロジェクトに、2008年7月1日に実施した国内の販売会社の再編プロジェクトがある。全国の都道府県ごと1社ずつあった販売会社を、ブロックごとの7社に統合した。統合に先立ち、「CUBIC(キュービック)」と呼ぶ会計システムを2005年に導入し、販売会社ごとに異なっていた業務プロセス、会計の記録方法、あるいは情報活用の方法などを統一した。CUBICは、リコーグループ全体で必要な情報、各地の販社が必要な情報など、いろいろな切り口から会計情報を分析できるようにした。
現在は、海外でも標準化の考え方を採り入れた改革を進めている。例えば、複数のブランドを個別展開してきたヨーロッパ地域で、サービス内容やマーケティング活動、顧客管理システムなどを統合するべく、標準化を進めているという。
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