Webアプリケーションを開発する際には,デザイナとエンジニアがいかに協調して作業を進めるかという「D/E(デザイナ/エンジニア)問題」の解決が不可欠,との話はよく耳にする(関連記事:「コラボレーションから始めよう!」「名探偵ホラムズ」)。ただし現実には,Webアプリケーションを開発していても「D/E問題」の存在に気づいていない人も多いのではないか。先日,Webサイト制作会社ニューロマジックの野村政行氏を訪ねたときに聞いた言葉である。

 企業内,あるいは企業間で利用するような大規模なBtoBサイトの開発では,まずサイト・デザイン(画面設計)があり,次工程でそれを受け取ってサイトを実装する,といった具合に,分業が進んでいるところが少なくないという。こうした場合には,デザイナとエンジニアが直接に関わり合う機会があまりないため,D/E問題が意識されることはないというわけだ。また,BtoBサイトを再構築するときには,「使い勝手が変わると困る」という理由で,従来のデザインを踏襲することが求められる場合も多いという。

 しかし,こうした場合にもD/E問題は発生している。例えば,デザイナが設計した画面の実装が困難である場合や,後日,機能を追加する際にその機能を使うためのユーザーインタフェースを勝手に加えてしまう場合である。いずれも,本来ならデザイナに相談するべきだが,エンジニアが自分の判断で修正してしまうことがある。これは,デザインを外部に依頼した場合などによく起こるという。

 これらの修正を施された画面を,デザイナが後日になって見てどう感じるだろうか。信頼関係が損なわれ,別の依頼に対しても「どうせ変えられるのだから」と考えてしまうかもしれない。これは立派なD/E問題と言えそうだ。

 9月4~5日に開催するソフトウエア開発者向けイベント「X-over Development Conference」では,Web制作に携わる3人の方が,それぞれの立場からD/E問題について議論するセッション「こうすればうまくいく!? デザイナ vs. エンジニア」を企画しています。「うちにはD/E問題なんか無いから」と思っている方にも,足をいただければ幸いです。