こんにちは,はじめまして。エンジニア向けの研修でプロジェクトマネジメントを教えている阪井と申します。このたび「目指せ!PMP PMBOKで学ぶプロジェクトマネジメント」いう連載を書かせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。この連載では,まずPMBOK(Project Management Body Of Knowledge)の全体像を理解してもらい,連載の後半で,プロマネの国際資格PMP(Project Management Professional)取得のコツについてお話ししていきます。
プロマネ知識体系のデファクト・スタンダード
ほとんどの方は,「PMBOK」という言葉は聞いたことがあると思います。・・・でも,確認のため,PMBOKの概要から入りましょう。
PMBOKは,Project Management Body Of Knowledgeの略です。日本語でいうと,「プロジェクトマネジメントの知識体系」という意味です。PMBOKは,米国に本部がある非営利団体PMI(Project Management Institute)が作っています。そして,PMBOKはプロジェクトマネジメントの知識体系の「デファクト・スタンダード」になっていると言っても,言い過ぎではありません。
PMIは,PMBOKを「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」という書籍の形で発行しており,4年に1回改訂することにしています。このため2008年度には最新版が出るはずです。ちなみに,日本にはPMIの東京支部があります(PMI東京支部)。
PMIは,(1)プロジェクトマネジメント手法の研究,(2)標準の制定(PMBOKのことです),(3)資格の認定,などを行っています。資格の1つが,PMP(Project Management Professional)です。日本のPMP資格取得者もうなぎ上りに増えており,2008年の4月末現在で,2万3132人が資格を取得しています(図1)。IT業界でも,PMPの資格を取得する人が急増しています。
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図1●日本における資格取得者数推移 出展:PMI東京支部 2008年度 法人スポンサー報告会資料 |
自己流ではうまくいかない
皆さんは,次のような経験はありせんか?
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プロジェクトマネジメントの研修で,エンジニアの方に「2つ以上該当する方は挙手をお願いします」と言うと,毎回,ほぼ全員が挙手します。「全部,該当します!」と胸を張る方もよくいらっしゃいます。
これらは,すべてプロジェクトマネジメントの問題です。そしてその大きな原因は,「自己流のプロジェクトマネジメント」にあります。昔は自己流でもうまくいきましたが,近年のようにシステム開発プロジェクトが複雑化・巨大化してくると,もはや自己流ではうまくいきません。
PMBOKは,いろいろな経験をもった世界中のプロジェクト・マネジャーが,失敗体験・成功体験から得た知見を体系的にまとめた,文字通りの“知識体系”です。この知識体系に沿ってプロジェクトマネジメントを実践しましょう,というのがPMBOKの考え方です。体系的だからこそ,普段行っているプロジェクトマネジメント業務を見直して,足りないところを補強することができます。結果的に,自己流よりもうまくプロジェクトを運営できます。