小林 信次
マークアップ・エンジニア
小林 信次 茨城県出身。1980年生まれ。専修大学経営学部卒業後,1年弱のニート生活を経て販売代理店の営業職を経験後,有限会社アイエイトワンに入社。主に,Webディレクション,マークアップを務める傍ら,講師活動・執筆活動を行う。allWebクリエイター塾ではCSS講習の講師。著書に「XHTML&CSSデザイン |基本原則,これだけ。」(共著,MdN発行)がある。

 最近,CSSのマルチシート・ネタでは,リセットCSSを使わないというケースや,必要最小限だけ使うのが良いよね,といったように「リセットまわり」のことが話題になっています。リセットまわりとはブラウザが標準で持っている,CSSをどこまでリセットするのかを決める記述のことです。CSSを添付しなくてもh1でマークアップしたテキストのサイズが大きくなるのは標準スタイルのせいです。

 CSS Nite in Ginza, Vol.23で大藤幹さんは,マルチシート・アプローチすらも使われるケースが減ってきていると発言していました(※1)。マルチシートの話題再燃ということで,今回は僕が主に使用しているマルチシート・アプローチについてお話します。

※1 あくまで,海外の個人blogを中心に,CSSを分析された結果ということです。

 マルチシート・アプローチとは,CSSをいくつかのファイルを分けて,それぞれに限定的な記述を含めることにより,サイトを制作しやすくする方法です。今でこそ,Dreamweaverなどのツールが進化していますから,CSSファイルのどこにどんなスタイルを指定したのかすぐにわかりますが,逆に,そうしたツールを使わないと,2000~3000行以上におよぶCSSの指定を管理するのは非常に困難です。マルチシート・アプローチをとることで,ファイルごとのコードが短くなって人間にとっても読みやすくなり,管理しやすくなるというわけです。

 マルチシート・アプローチはチームでのマークアップ作業にも向いています。例えば1枚のCSSファイルをチームで修正していると,ファイルの先祖がえりなんてことも当たり前に起こりますよね。CSSファイルを複数に分けることで,このファイルは誰と誰以外はさわっちゃダメ,といった権限の設定も容易に行える訳です。