アイ・ティー・テレコム
法人営業部 モーラネット事業担当
新井 麻奈 アイ・ティー・テレコム
法人営業部 モーラネット事業担当
新井 麻奈

大手外資医療機器メーカーは,東京-仙台間でWeb会議を利用した遠隔セミナーを予定していた。東京会場のリアル・セミナーを,Web会議を使って仙台会場に中継する。セミナー当日,岩手・宮城内陸地震に見舞われた。遠隔セミナー会場は仙台。携帯電話がつながらないなか,Web会議が連絡手段として活躍。仙台会場には,受講者数人が訪れたため,スループットが出ないネットワークを工夫して使い,8時間にわたるセミナーを無事にやり遂げた。

 「地震大丈夫でしたか?」。私が東京会場へ到着すると,医療機器メーカーのスタッフが声をかけてくれた。地震があったという。自分自身,会場へ向かう道中,地震(東京では震度3)にはまったく気がつかなかった。2008年6月14日の午前9時前のことである。

 この日は,午前10時から午後6時まで,医療機器メーカーが東京会場でセミナーを開催。それをアイ・ティー・テレコムのWeb会議サービスを使って,仙台会場へ同時中継する予定だ。この準備のため,東京会場と仙台会場のそれぞれのパソコンからWeb会議サーバーへ接続したところ,地震が起こった。仙台会場のスタッフは,一時建物から非難したという。幸いけが人や被害はなかった。

 とりあえずひと安心というところに,東京会場に受講者から連絡があった。東京会場は今回のセミナーの連絡先になっており,仙台会場へ向かう受講者が「新幹線が止まり遅れそうだ」と連絡してきた。東京会場のスタッフは,この連絡を仙台会場へ伝えるために携帯電話で連絡しようとするがつながらない。

 東京会場のスタッフは,まだ東京会場に到着していない責任者などに電話をかけ,状況を報告したり指示を仰いだりと慌ただしくなった。事態の深刻さに気づくに連れ,スタッフの顔色も次第に青くなっていった。

仙台での遠隔セミナーを中止するか?

 「Web会議で話できますか?」。携帯電話がまったく通じないなか,接続をキープしていたWeb会議が電話代わりに使えた。そのため,東京会場から仙台会場の様子がよくわかった。余震は続き,仙台会場は危険な状態は変わりないようであった。地震の状況がわかってくると,仙台会場の遠隔セミナーを中止するかどうかの検討が始まった。

 午前9時半近くなると,東京会場に受講者が集まり始めた。なんと仙台会場にも数人の受講者が到着したという。地震,交通機関がマヒという状況でも来場してくれた受講者のため,遠隔セミナーを決行することにした。

 東京会場約40人,仙台会場5人で午前10時に予定通りセミナーがスタートした。仙台会場は予定の3分の1の人数である。