「これから組み込みソフト開発に取り組むWindowsプログラマ」を対象に,組み込みLinuxを用いた開発の基本について解説します。第3回は,組み込みLinux開発を実際に試すための実験環境を準備します。

 今回は,組み込みLinux開発を実際に試すための実験環境を準備します。構築するシステムは,図1のようになります。

 まず,開発用PC(実際にプログラムを動作させる機器=実機ではなく,開発用のパソコンを指します。詳しくは連載第2回を参照)に,Linuxディストリビューションの「CentOS 5.1」をインストールします(1)。

 次に,「QEMU」というエミュレータ・ソフトウエアを使い,開発用PC上に仮想的な組み込み機器を構築します(2)。今回エミュレートするものは,「小型のLinuxサーバー・システム」を想定した組み込み環境です。

 組み込み環境のCPUアーキテクチャは,組み込みシステムで広く使われているARMアーキテクチャとします。ARM用の開発環境を構築します(3)。

 それでは,実際に構築していきましょう。

図1●本連載で使う実験環境
図1●本連載で使う実験環境

CentOS 5.1のインストール

 「インストール完全ガイド CentOS5.1」を参考に,Red Hat Enterprise Linux互換のLinuxディストリビューションであるCentOS5.1をインストールします。インストール時に注意すべき点は次の2点です。

 (1)開発に必要なパッケージをインストールします。「10 インストールパッケージの選択」にて,「今すぐカスタマイズする」を選択し,「次へ」をクリックします。そして,図2の画面で「アプリケーション」⇒「Emacs」,および「開発」⇒「開発ツール」にチェックを入れます。

図2●必要なパッケージをインストールする
図2●必要なパッケージをインストールする

 (2)「17 ユーザーアカウントの設定」にて,開発用のユーザー・アカウントを作成します。本連載では,ユーザー名は「em-linux」とします(図3)。

図3●開発用のユーザー・アカウントを作成する
図3●開発用のユーザー・アカウントを作成する

開発用PCの必要最小限の操作方法

 開発用PCを使うにあたり,最低限覚えておくべきLinuxシステムの操作は,次の3点です。

(1)ログインとログアウト
(2)端末のオープン
(3)rootユーザーで操作するsuコマンド