鍵を握るサイト内検索エンジン

 前回は検索エンジンの重要性について述べたが、同じ検索エンジンでも、インターネット空間の検索から、デスクトップのファイルの検索まで多種多様な検索エンジンが存在する。

 最近、特に気になるのがサイト内検索だ。インターネット検索に対しては、SEOなどあらゆる手法をつかって最適化を図るわけだが、結果を思いのままに出すということは至難の業であろう。

 インターネット検索から導かれてきた顧客は、次に自サイト内でのナビゲーションへとバトンタッチされる。これから以降、どのように顧客をエスコートできるのかが、結果的にはリアルビジネスも含めた売り上げに非常に強い相関で影響してくる。したがって、サイト内でいかに顧客の目的とする情報へ速やかに正確に導くかが大きな鍵となるわけである。

 一昔前までは、ナビゲーションバーやアイコンなどグラフィカルなツールを用いて誘導するパターンが多かったが、それに加えて、検索文化の浸透とともに、サイト内検索窓にキーワードを入力して一発で移動するというパターンが一般化してきた。

サイトオーナーの意図をカスタマイズ

 サイトには、それぞれの目的と意図が存在する。顧客に対してどのようにおもてなしするのか、その手となり足となるのが、サイトの場合ナビゲーションとなる。前述のように、サイト内検索を利用して移動する形態が一般化しているため、ここでの顧客とのコミュニケーション手法の出来不出来がひとつの重要なポイントとなる。

 通常、各コンテンツをいかにいいものにするかということを当然考えるが、それと同等かそれ以上の優先度をもって、この検索から始まるコミュニケーション手法に注力したい。

 今までは欧米のメジャーな検索エンジンや、フリーのエンジンなど多様なサイト内検索エンジンが存在したが、各国言語特有の規則性や、各国言語の独特の意味や文字など、今までより、よりローカライズされたエンジンが求められるようになってきた。

 検索エンジンもこのあたりで、大きく見直される時期にきたのかもしれない。そのような目でよくよく検討すると、結果表示の視認性、表示のフレキシブル性、カスタマイズの簡便さ、技術サポートのきめ細かさなどなど、あるはあるは、いろんな差別化ポイントが見えてくる。

 特に検索結果の表示方法は、気をつかうところだが、ビジュアルにしかも生理的に理解できる方向へシフトしていくのではないかと思っている。顧客は見るだけでその規則性を理解し、次の行動へ移っていく。これからは、このユーザーインターフェースデザインが大変重要なものになるだろう。

 更に、エンジン側での学習能力と推測能力も重要なポイントだ。多くの顧客が入力する文字列を分析、学習して、入力途中でもエンジン側から、適切と思われる文字列を提案してくるなどは当然のこと、サイト独自の単語や意味も学習して成長していく‥‥。

 したがって、使われれば使われるほど、またサイトオーナーが教育?していけばいくほど利口になって、かなり高い確率で正しい情報へと導いていくことができるようになる。このような、コンシェルジェにエスコートされる顧客はどのような感触を得るのだろうか? それはだれにでも簡単に想像できるだろう。

検索結果ページが勝負所

 いままでの検索エンジンの検索結果ページは、なんとなく無機質で、いかにも事務的な処理をしてみました‥‥、というような気配が強かった。しかし、これから求められるのは、ここで顧客といかに円滑にコミュニケートするかということではないだろうか。

 場合によっては、トップページのインデックスを作るつもりで表現してもおかしくない場なのではなかろうか?そのような視点でこの場を再検討してみて、いいアイデアが出たら、実行していただきたい。

 サイト内検索エンジンを再度吟味してみる。そして、その検索結果ページのデザイン、見せ方等を再度考え直し、実際に作り直してみる。これだけで(費用もかかるが)、サイト内での顧客行動に変化が現れるはずだ。更に重要なのは、文字列を入力したにもかかわらず、結果がなにも出なかった場合だ。

 このケースは慎重に分析しなければならない。企業側の常識と顧客側の常識は必ずしも一致しない。つまり、同じ情報を指す場合でも、単語が違う場合が多数ある。

 このような場合は、なぜ、その単語を入力したのか?を分析し、場合によっては、顧客側の単語からサイト内の情報へ遷移できるようにカスタマイズする必要がある。逆に言えば、このようなケースが非常に重要であり、このギャップを埋めていくことが、おおきなステップアップにつながるのは明白だ。

 そのためには、できるだけ頻繁に入力ワードのサマリーや傾向を見て対処していく作業が必要となる。何事も楽な仕事はないが、やればやるだけ改善される分かりやすい領域でもある。