私は前回このコラムでBluetoothマウスを紹介した(記事はこちら)が,私的には満足度が高かったので調子に乗ってiPodとヘッドホン用にBluetoothアダプターを購入した。今回は,その使用感を紹介しよう。

iPodにBluetoothアダプタ「MM-BTAD10 BK」を装着したところ
iPodにBluetoothアダプタ「MM-BTAD10 BK」を装着したところ
MM-BTAD10 BKはDockコネクタに挿して利用するアダプタ。
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 私が使っているiPodは,購入後2年半程度経過した第五世代のiPod。それにSHUREのヘッドホン「SCL2」をつないで利用していた。iPodはBluetooth対応していないので,Dockコネクタに接続するBluetoothアダプタ「MM-BTAD10 BK」(サンワサプライ製)を5800円で購入。一方,ヘッドホンは,Bluetoothヘッドセット「MM-BTSH3 BK」(サンワサプライ製)を8800円で購入した。MM-BTSH3 BKは,Bluetoothアダプタにヘッドホンを挿して利用する製品で,ステレオミニジャックタイプのヘッドホンであれば別のモノに交換できる。私はMM-BTSH3 BKに標準で付属するものは利用せず,SCL2を挿して使っている。

使い方は簡単

サンワサプライのBluetoothヘッドセット「MM-BTSH3 BK」
サンワサプライのBluetoothヘッドセット「MM-BTSH3 BK」
ヘッドホンは汎用的なモノと交換できる。
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 まずは使い方。使い始めるときは最初にBluetoothアダプタ同士のペアリングを行う。ヘッドホン側のアダプタにあるマルチ機能ボタン(アダプタ前面にあるボタン)を6秒程度長押ししてペアリングモード(ボタンの周りのLEDが赤と青に点滅する)にし,次にiPodにもアダプタを装着しiPodで音楽やビデオの再生を開始するとペアリングが行われ,利用できるようになる。次回以降はヘッドホン側のアダプタの電源を入れ,iPodで再生を開始すれば利用可能だ。

 ヘッドホン側のアダプタには,マルチ機能ボタンのほか,音量のアップとダウンを行うシーソー型のボタンと一時停止/再生ボタン,曲送りと曲戻しのボタンがあり,iPodと接続した場合でも利用できる。ただ,iPod本体を操作しているときのように,曲送り/曲戻しボタンを長押ししても早送りや早戻しはできない。

 マルチ機能ボタンは 先に紹介したBluetoothのペアリングのほか,4秒程度長押しすることでアダプタの電源オン/オフが可能。Bluetooth対応携帯電話と接続した場合には,電話の着信,リダイヤルなどもマルチ機能ボタンを押すことで操作できる。ちなみに,このアダプタには上面にマイクが内蔵されており,携帯電話などと接続したときには,通話も可能となっている。

 ヘッドホン側のBluetoothアダプタでは,たいした操作もできないので,使い方で悩むことはない。だが,使っていて困ったのは,アダプタの電源を入れたり,切ったりするときにビープ音が3回鳴り,これが結構うるさいことだ。静かな場所ではビープ音が響き渡ってしまうので操作することがはばかられてしまう。

 電源オフ時のビープ音をオフにすることもできなくはないが,電源を切ると,設定が元のビープ音がオンの状態に戻ってしまう。面倒なので,電源をオンする度に設定を変えるようなことはしていない。常時,操作音がしないモードを用意してほしいものである。

 なお,iPod側のアダプタには操作ボタンはなく,iPodで再生を始めれば自動的に利用できるようになる。

音が切れることも…

 Bluetoothを利用した場合の音質だが,接続状態が良好である限り,音が劣化するといった印象は受けていない。通勤中に音楽を聴いたり,録画したTV番組を見る限りは問題ない音質だと感じている。

 ちなみに,MM-BTSH3 BKに標準で付属するネックストラップ型のヘッドホンは,あまり良い音質とは感じられなかった。これを使うくらいなら,iPodに付属のヘッドホンの方が音質はよいのではないかと思う。

 次にBluetoothでの接続が切れたりしないかだが,結論をいうと場所によって時折Bluetoothの接続が切れることがある。通勤中,音楽を聴いている時は,カバンにiPodを入れている。iPodとヘッドホン側のBluetoothアダプタとの距離は50cmと離れていないので,距離の問題で切れるとは思えない(製品仕様上の通信距離は最大10mである)。自宅から駅までの間の2カ所と駅のホームの特定の場所というように,Bluetoothが切れやすい場所はだいたい決まっているので,その場所付近で発信されている何か別の電波(あるいはノイズ)の影響を受けているのではないかと思っている。

 Bluetoothの接続が切れるとどうなるかというと,単に音が途切れるだけだ。その間もiPodでの再生は継続しており,再び接続できると音が流れ出す。切れたからといって,特別な操作は必要ない。幸い利用時間の最も長い地下鉄の中では,これまで接続が切れたことがないので使い続けている。

 最後に,iPodのような携帯型のマルチメディアプレーヤーの場合,Bluetoothアダプタを使ってヘッドホンをワイヤレス化するメリットがあるのか考えると,やや微妙に思っている。確かに,iPodをカバンに入れたまま音楽を楽しめるのは便利である。たとえば,iPodをカバンに入れたまま,電車の棚に載せるときも,ヘッドホンのケーブルを気にしなくてもいい。

 だが,私の場合,電車に乗っているときは,録画したTV番組を見ることが多いので,iPodは手に持っている。この使い方では,あまりワイヤレスのメリットを享受できない。ワイヤレスが生かされるのは,自宅と駅の間を歩いているときだけである。そのためだけにかけたコストとしては高いように思う。

 もっとも,ヘッドホンで利用しているBluetoothアダプタは,パソコンとつないで利用することも可能だ。利用する際に,毎回パソコン側から接続操作をする必要はあるものの,つないでしまえば後はワイヤレスで音楽を楽しんだりできる。パソコンとiPodの両方で使えると考えれば,今回の出費も許せる範囲ではないかと思っている。