サービス選びの基準として重要な項目にセキュリティがある。ほとんどのサービスはID/パスワードによる認証と,WEPによる通信の暗号化だけ。WEPは同一のサービスを利用しているユーザーが同じキーを利用するので盗聴の危険性がある。さらに,特に無償サービスなどにはアクセス・ポイント配下のユーザー同士が直接通信できるようになっているサービスもある。ファイル共有にアクセス制限をかけていない場合は同じアクセス・ポイント配下にいる他ユーザーにファイルを盗み見られる可能性がある。

 企業ユーザーなどセキュリティを重視する場合は,IEEE 802.1Xに対応するNTTグループのサービスが候補になる(表1)。ただし,IEEE 802.1Xを利用する場合は専用ソフトと証明書のインストールが必要になり,利用できる端末は基本的にノート・パソコンに限られる。

表1●有償の主な公衆無線LANサービス
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表1●有償の主な公衆無線LANサービス

 さらに,ファイル共有の禁止やパーソナル・ファイアウォールの導入など最低限の対策を実施したうえで,重要情報はVPNやSSLでやり取りするといった心掛けが欠かせない。セキュリティ対策が難しい専用端末を利用する場合は個人情報などの重要情報を扱わないようにする必要がある。

専用機器は事前の接続確認が不可欠

 サービスを契約する際は接続方法も事前に確認しておこう。特にノート・パソコン以外の端末の場合,機器によっては利用できないことがある。

 典型的なのがNTT東西地域会社が提供する「フレッツ・スポット」である。PPPoE(PPP over Ethernet)でプロバイダと接続する仕組みになっているため,端末にPPPoEのクライアント機能が必要になる。iPod TouchやニンテンドーDS/同Liteなど機器によっては接続できない。

 一方,ユーザーの使い勝手を高める目的でMACアドレス認証を採用する事業者もある。ライブドアでは,事前に利用機器のMACアドレスを登録しておくと,IDとパスワードを入力せずに接続できる。「MACアドレスは詐称できるため賛否両論だが,特に問題は起こっていない」(ライブドアネットワーク事業部技術部の増田順シニアマネージャー)とする。ID/パスワードの入力操作が面倒な機器を利用している場合は便利である。