東海地震・東南海地震の観測システムを埋設する敷設船を見学した。想定震源域に地震計装置と津波計装置を敷設するのに先立ち、気象庁が開催した見学会に参加。装置を接続したケーブルやそのケーブルを敷設する装置など、敷設船の仕掛けが公開された。

 気象庁は2008年7月3日,海底ケーブル敷設船「すばる」の見学会を開催した(写真1)。これは,気象庁が7月6日に開始する地震観測システムの埋設作業に先立ち,敷設作業者のNECが協力して開いたもの。すばるはNTTワールドエンジニアリングマリン(NTT-WEマリン)が保有する敷設船で,今回気象庁の依頼を受けたNECがチャーターしている。

写真1●海底ケーブル敷設船「すばる」
写真1●海底ケーブル敷設船「すばる」
NTTワールドエンジニアリングマリン(NTT-WEマリン)が保有する敷設船。長さ124m,幅21m,総トン数9557トン,航続距離8800海里。

 今回敷設するのは地震計装置5台と津波計装置3台。これらは全長220kmの光ファイバで数珠つなぎにしてある。これらの装置は,東海地震・東南海地震の想定震源域に配置され,光ファイバを使って地上に24時間,リアルタイムで計測結果を送信する(図1)。これらの装置の開発もNECが請け負っている。

図1●地震計測システムの新設個所
図1●地震計測システムの新設個所
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 この地震観測システムでは,陸揚げされた光海底ケーブルを御前崎測候所にある中継装置に接続する。計測装置の信号は中継装置で処理され,NTTのフレームリレー網を経由して東京と大阪の中枢局に送られる。この中枢局から地震情報が緊急地震速報システムに配信される(図2)。

図2●地震計測システムの全体構成。地震計装置5台と津波計装置3台を数珠つなぎにした光ファイバを敷設し,NTTのフレームリレー網を経由して東京と大阪の中枢局に送られる。
図2●地震計測システムの全体構成
地震計装置5台と津波計装置3台を数珠つなぎにした光ファイバを敷設し,NTTのフレームリレー網を経由して東京と大阪の中枢局に送られる。
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 地震計装置の長さは約1.6m,津波計装置は約2.2m,直径はいずれも約27cm(写真2)。地震計装置は,上下方向と水平方向の速度と加速度を検出するセンサーを内蔵している。津波計装置は,中に海水が入るようになっていて,圧力センサーによって海面の上下動を検知する。水深4000mでも海面の上下動を1mmの分解能で検知できるという。このケーブルの先は,甲板の下にあるケーブル・タンク内に続いている。

写真2●地震計装置と津波計装置。地震計装置の長さは約1.6m,津波計装置は約2.2m,直径はいずれも約27cm。
写真2●地震計装置と津波計装置
地震計装置の長さは約1.6m,津波計装置は約2.2m,直径はいずれも約27cm。
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