キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は2月,CRMシステムにセールスフォース・ドットコムのSalesforceを採用した。11部門の 1800ユーザーで利用を開始し,このうち1400ユーザーがモバイル版のSalesforce Mobileを利用している。

 キヤノンMJは,KDDIとNTTドコモの携帯電話を採用。営業担当者が外出先から携帯電話を使って顧客情報やスケジュールを確認したり,日報を更新したりできるようにした。

 営業担当者は,外出中の空き時間に携帯電話から業務アプリケーションを利用できるため,日報作成を目的にオフィスに戻る必要がなくなるなど業務効率を向上できる(図1)。

図1●キヤノンマーケティングジャパンはモバイルSaaS用の携帯電話を約3000台を導入する計画を立てている
図1●キヤノンマーケティングジャパンはモバイルSaaS用の携帯電話を約3000台を導入する計画を立てている

 Salesforceの導入を検討するうえで,キヤノンMJが重視したのは,エンド・ユーザーの要望に合わせたカスタマイズが容易な点やコストを抑えて短期間で導入できることなどに加えて,携帯電話で利用できるSalesforce Mobileを提供していたことだった。キヤノンMJの佐々木浩明ビジネスソリューションカンパニーBS事業計画本部BS事業管理部長は,「モバイル環境で利用できなければ,Salesforceを選択していなかったかもしれない」と振り返る。

 これは外勤の営業担当者からの,外出先でもCRMアプリケーションを利用できるようにしたいという要望に応えたもの。しかし一方では,情報漏えい防止の観点からノート・パソコンの持ち出しを制限するルールがあった。その代わりとして,社外に持ち出しが容易で,かつ紛失時の遠隔からのデータ消去などの対策が充実している携帯電話の活用が解決策として挙がった。

外出先でのデータ利用を評価

 携帯電話の場合,パソコンで利用できるダッシュボードなど一部利用できない機能はある。それでも「外出先でデータを見たり,更新したりできるだけでも大きなメリットだ」と,佐々木部長は強調する。

 同社は今後,Salesforce Mobileのユーザー数を増やす。年内には,Salesforceのユーザー数を4000に増やし,このうち3000ユーザーがSalesforce Mobileを活用する計画だ。

 キヤノンMJは,それまではCRMのパッケージ・ソフトを利用していた。しかし顧客情報のデータベースが各部門ごとに散在していたうえに,パッケージ・ソフトの機能に対する要求が部門ごとに異なるために,エンド・ユーザーが活用しない状況が続いていた。そこで,顧客対応の改善の一環として,顧客情報活用のための顧客データベース再構築に着手。新たなCRMアプリケーションとして,2006年10月ごろからSalesforceの採用を検討していた。