仕事でソフトウエアを開発している人にとっても,個人の楽しみでプログラミングをしている人にとっても,インターネットが重要な情報源であるという点は共通しています。ところが,情報の量があまりに多すぎて,すべてに目を通すことはとても不可能です。

 そんなときに効率よく情報を入手する手段として,Webメールやブログ,RSSリーダーといった,様々な企業が提供しているWebアプリケーションが極めて有用です。しかも,その多くは無料で利用できます。本記事では,そのようなサービスを便宜的に「Webツール」と呼ぶことにします。

 Part1では,個々のWebツールを説明する前に,その全体像と,ソフトウエア技術者にとってどのようなメリットがあるかを簡単に説明します。

ユーザー・インタフェースの進化で,ネットならではの便利なツールが続々

 インターネットのどこからでもブラウザを使って利用できる代わりに,使い勝手を犠牲にしている――これが,ひところのWebアプリケーションのイメージでした。

 例えば,ブラウザで電子メールを読み書きする,いわゆる「Webメール」でメールを削除しようと思ったら,削除したいメールのチェックボックスにチェックを入れて[OK]ボタンをクリックする,といったWebアプリケーション特有の操作が必要でした(図1)。ごみ箱にドラッグ・アンド・ドロップする,あるいはメールを選んでDeleteキーを押す,といったデスクトップ・アプリケーションの作法は通用しなかったのです。

図1●古いタイプのWebメール(@niftyメールの旧バージョンの例)
図1●古いタイプのWebメール(@niftyメールの旧バージョンの例)

 しかし,Ajax*1を使ったユーザー・インタフェースの普及などで,Webアプリケーションの使い勝手はデスクトップ・アプリケーションにぐっと近づきました。ダイアログボックスを使った対話機能や,ドラッグ・アンド・ドロップ操作が可能なWebアプリケーションは珍しくありません(図2)。操作のたびにサーバーにアクセスするようなこともなくなり,軽快に操作できるようになりました。

図2●Ajaxを使ったWebメール。ゴミ箱へドラッグ・アンド・ドロップ,あるいは一覧で選んでDeleteキーで削除できる
図2●Ajaxを使ったWebメール。ゴミ箱へドラッグ・アンド・ドロップ,あるいは一覧で選んでDeleteキーで削除できる

 使い勝手が大幅に改善した結果,インターネットのどこからでもアクセスできるというメリットを生かした様々なサービスが提供されるようになりました。これが本記事で取り上げるWebツールです。

 Webツールの多くは,ソフトウエア技術者専用というわけではありません。それでも,本記事でこれらのツールを紹介するのは,すでに大勢のソフトウエア技術者がこれらを使って,様々な情報を収集あるいはやり取りしているという実績があるからです。これらのツールを使いこなすための様々なノウハウを交換するコミュニティも存在しています。これらのWebツールは,ソフトウエア技術者にとっての強い味方と言えるでしょう。

 ここで取り上げるWebツールには,大きく二つのタイプがあります(図3)。一つは,ユーザーの個人的な情報を管理する機能を提供するツール。Web メールはその代表例です。サーバー上で情報を一元管理するので,どこからアクセスしても単一の情報を参照できるというメリットがあります。

図3●Webツールは大別して個人情報管理ツールと情報収集/発信ツールの二つのタイプがある
図3●Webツールは大別して個人情報管理ツールと情報収集/発信ツールの二つのタイプがある

 もう一つは,多数の参加者が情報を収集または発信するためのツールです。この代表例はブログでしょう。参加者一人ひとりがブログのエントリやブックマークなどの形で興味の対象を公開すると,それが集約されて,そのときどきのトレンドが見えてきます。

 次ページでは,それぞれのタイプの代表的なツールとその特徴を紹介しましょう。