川徳のCIOである菊池政四 執行役員カード・ポイント部長
川徳のCIOである菊池政四 執行役員カード・ポイント部長
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 創業1866年という老舗百貨店・川徳(岩手県盛岡市)には業界随一と目されるCIO(最高情報責任者)がいる。執行役員の菊池政四カード・ポイント部長だ。「歴史はある。それをベースに新しいセンスを加えていけたら」と話す。1989年に国内では少なかったクレジットカードシステムの構築を手掛け、2005年にはイーバンク銀行と提携するなど川徳の情報化を引っ張ってきた。現在はIT(情報技術)ベンダーのアイティフォーとともに地方百貨店同士によるシステム連合を呼びかけている(関連記事)。

 菊池部長は、地方百貨店の幹部としては一風変わった経歴を持っている。地元の岩手大学工学部を卒業して上京、SE(システム・エンジニア)としてソフトウェア開発の現場で3年間働いた。地元に戻ってからも岩手銀行の関係会社でやはりシステム関連の業務に携わっていた。川徳がコンピューターを導入することが決まった時に入社。それ以来システム畑を歩んできた。

 システム部門の部下には「技術は基本だけ押さえればいい。あとは発想や着眼点、人脈」と伝えている。自身も視野を広げるために34才の時に一念発起して一級販売士の資格を取得。コンビニエンスストアや金融機関など気になる企業のシステム部門にはこまめにヒアリングに出かける。百貨店向けパッケージ・ソフト「RITS」(リテール・インフォメーション・テクノロジー・フォー・ストラテジック・マネジメント)を導入する時には他業種のシステムを見ていたのでいち早くオープンシステムという選択に踏み切れた。

 現在はコンビニが手掛ける公共料金などの決済代行サービスを川徳のカウンターでやれないかと考えている。「『川徳に行けば何とかなる』とお客様に思ってもらえたら」という。盛岡市民の生活インフラの一部になることを目指している。「地方の一番手がどこまでやれるのか。町を引っ張る存在としての責任は大きい」と話す。「各地の百貨店同士でショッピングモールを立ち上げるのも面白い」。アイデアマンのCIOは次の一手を模索中だ。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・経営トップとはあくまで経営・事業に関する話題が中心となります。当然、経営課題の中にはIT戦略も含まれますが、全社の経営課題とIT戦略施策の共有が目的です。

◆ITベンダーに対し強く要望したいこと、不満など
・近年、特に感じる点はSEの能力が低下していることです。コミュニケーション力と提案力が非常に不足しています。また、営業担当者のレベルでもユーザー側との会話から適切な課題を抽出できないためにピントのずれた提案につながっています。

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・日経MJ
・繊研新聞
・日経情報ストラテジー
・日経ベンチャー
・日経コンピュータ
・トップポイント
・月刊ストアーズレポート
・商業界

◆最近読んだ本
・『サービス・ストラテジー』(ジェイムス・トゥボール著、小山順子監訳、有賀裕子訳、ファーストプレス社)

・『企業通貨マーケティング 次世代「ポイント・電子マネー」活用のすすめ 』(野村総合研究所企業通貨プロジェクトチーム著、東洋経済新報社)

・『団塊マーケティング』(電通シニアプロジェクト、電通)

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
・調べ物のために検索で利用する程度です。たまにネットオークションやることもあります。

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・日本百貨店協会や日本小売業協会、日本販売士協会、メーカーが主催するセミナーに参加しています。単独で興味のある企業を訪問してヒアリングさせてもらうことが多いです。

◆ストレス解消法
・草花が好きなので庭いじりで汗を流すことがストレス解消法です。時間があれば庭でビールを飲みながらの読書となります。