NTTPCコミュニケーションズは5月,NTTドコモの第3世代携帯電話「FOMA」のデータ通信で固定IPアドレスを割り当てられるサービスを始める。IPアドレスによる端末認証が可能となり,さらにネットワークの設定が容易になるため拠点間通信にFOMAを活用することも現実的になる。

 携帯電話によるデータ通信を,これまで以上に使いやすくするサービスが登場した。

 NTTPCコミュニケーションズ(以下NTTPC)が5月から提供を開始する「InfoSphere FOMA定額データプランコース IP1タイプ」は,第3世代携帯電話(3G)の技術を使うインターネット接続サービスとして,初めて毎回同じIPアドレスを端末に割り当てられる。PHSのデータ通信「AIR-EDGE」による同種のサービスも存在するが,実効速度の面では3G携帯電話の方が実用的だ。

 固定IPアドレスを使った場合,毎回異なるIPアドレスを割り当てる方式よりも,企業ネット側での端末認証などが容易になる(図1)。イントラネットへのリモート・アクセスでは,端末のIPアドレスをあらかじめ接続先のゲートウエイ機器やルーターに登録し,特定の端末の接続だけを許可することができる。

図1●モバイル端末やワイヤレス・ルーターに固定IPアドレスを割り当てられる3Gインターネット接続サービスが登場
図1●モバイル端末やワイヤレス・ルーターに固定IPアドレスを割り当てられる3Gインターネット接続サービスが登場
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HSDPAが光アクセスのバックアップ

 NTTPC ネットワーク事業部バリューサービス部の渡辺信司担当課長は,「光アクセス回線のバックアップとしても(3Gデータ通信サービスは)使えるのではないか」と述べる。

 企業では光アクセスのバックアップ回線として,ADSLを使うことが多い。同社の新サービスは,NTTドコモの「定額データプランHIGH-SPEED」など,定額でメガビットクラスの実効速度が期待できるHSDPA(high speed downlink packet access)サービスと組み合わせて使える。しかも固定IPアドレスが割り当てられるため,経路制御などネットワーク側の設定も容易だ。同サービスによって,HSDPAが実効速度だけでなく,管理面でもADSLにそん色ないアクセス回線となりうる。

 同サービスは,初期費用が2940円,月額料金は2100円(HSDPAサービスなどの料金は別途必要)。同社では今後,ワイヤレス・ルーターでの利用などもテストしていく。現在,「(ルーター・メーカーの)センチュリー・システムズと検証について話をしている」(渡辺担当課長)という。