スマートフォン「BlackBerry」の新機種「BlackBerry Bold」が,夏に米国で発売される。同端末を国内で販売するNTTドコモは,08年度内の国内発売を計画している。新機種はW-CDMA/HSDPAに対応し,日本でも両方式で利用できる見込み。GPSや無線LAN,H.264動画再生などを内蔵し,用途拡大を図る。

写真1●BlackBerry Bold
写真1●BlackBerry Bold
GSM方式に加え,W-CDMA/HSDPA方式に対応するほか,トラックボールも搭載する。
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 企業向けのスマートフォンとして北米を中心に普及している「BlackBerry」に,新機種が加わる。同端末を開発するカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)が,5月に米国フロリダ州で開催したイベント「Wireless Enterprise Symposium 2008」で「BlackBerry Bold」を発表,展示した(写真1)。北米で今夏に発売する予定としたが,価格は明らかにしなかった。

 BlackBerry Boldは,第3世代携帯電話方式のW-CDMAの高速版である「HSDPA」にBlackBerry端末として初めて対応した。W-CDMA/HSDPAの両方式のサービスが始まっている,日本国内でも利用できる。

 これまでW-CDMA対応の端末はBlackBerry 8707シリーズしかなく,それ以外はGSM方式がほとんどだった。国内でBlackBerryを扱うNTTドコモも8707hの1機種しか提供できず,端末機種不足に陥っていた。BlackBerry Boldの発売で,ようやく日本で使える2機種目が登場する。「2008年度中にはBlackBerry Boldを国内で発売したい」(NTTドコモ)。

iTunes連携など個人用途も意識

 BlackBerry BoldはGPS(全地球測位システム)や無線LAN,Bluetooth,カメラ,Microsoft Word/PowerPointの編集機能など“全部入り”と呼べるほど豊富な機能を搭載する(表1)。業務文書の編集や,高速データ通信とGPSを生かした地図情報サービスの利用など,BlackBerryの用途を大きく広げると期待できる。

表1●BlackBerry Boldの主なハードウエアの仕様
携帯電話ネットワーク HSDPA/W-CDMA(850/1900/2100MHz),GSM/GPRS/EDGE(850/900/1800/1900)
サイズ 縦144mm×横66mm×厚さ14mm
重さ 133g
近距離通信 無線LAN(IEEE 802.11a/b/g),Bluetooth v2.0
GPS 内蔵
バッテリー駆動時間 待ち受け:13日,通話:5時間
ディスプレイ解像度 480×320ピクセル,6万5000色
カメラ 200万画素,フラッシュ付き
外部入出力 USB,microSD

 さらにマルチメディア機能が充実。アップルのiTunesとの連携のほか,H.264/DivX/XviDといった動画ファイルや,MP3/WMA9/AACなどの音楽ファイルの再生に対応するなど,コンシューマ用途も強く意識している。

 RIMはBlackBerry Boldの発表と同時に,コンシューマ向けインスタント・メッセンジャー「Windows Live Messenger」のBlackBerry版を提供すると発表した。さらに,初の開発者会議を10月に米国カリフォルニア州で開催することを明らかにした。

 2008年2月末でBlackBerryの利用者は,世界で1400万人。新規利用者数も順調に増えているという。一方,日本での販売台数について,NTTドコモは「国内での販売台数は公表していない」という。新端末には,国内のBlackBerry市場を活性化させる期待がかかっている。