ITpro電子行政では今年2月、東洋大学経済学部の山田肇教授による緊急寄稿「米国政府の情報アクセシビリティ調達基準、4月に原案公表へ」を掲載した。その後の動向について、都内で開催されたセミナー「世界の情報アクセシビリティ最新活動状況」(6月19日、主催・情報規格調査会)において講演が行われたので報告する。
講演したのは、IBM Human Ability and Accessibility Center のAndi Snow-Weaver氏。調達基準の原案を作成したTEITAC(Telecommunications and Electronic and Information Technology Advisory Committee:米国政府機関であるUnited States Access Boardを事務局とする諮問委員会)のメンバーである。Snow-Weaver氏は、4月にまとまったTEITACの原案から、ポイントとして以下の3つを挙げた。
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TEITACはあくまでも提言をする立場で、実際の調達基準を作る立場ではない。今後は、TEITACの原案を受けて政府機関であるUnited States Access Boardが草案を作る。出来上がった草案はパブリックコメントを経ると同時に、新しいアクセシビリティ基準に沿って変更を加えるにはどのくらいのコストが掛かるのかという経済的な影響についての評価が行われるという。最終的にアクセシビリティに関する法律(リハビリテーション法508条、1996年電気通信法255条)に反映されるのは「2010年のいつか、ということになるだろう」とSnow-Weaver氏は見通しを語り講演をしめくくった。
なお、このセミナーではこの講演のほか、欧州、ノルウェー、日本におけるアクセシビリティ基準に関する最新動向、国際標準(ISO/IEC JTC1 SWG-Aの活動、W3C/WAIのWCAG2.0)の最新動向についても、それぞれの関係者による講演が行われた。講演資料は同セミナーのサイトからダウンロードできるようになっている。