ITベンダーの95%が工事進行基準の適用をほぼ決定、そのうち60%が2009年度からの開始を決めていることがわかった。調査結果からは「原則適用」でありながらも、ベンダー各社が工事進行基準の採用に大きく舵を切った現状が浮き彫りになった。

 調査では主要ITベンダー40社に工事進行基準の取り組み状況を聞いた。38社が「すでに適用を決定」または「適用を予定」と回答。さらに27社が初年度に当たる「09年度から」とした(図1)。

図1●工事進行基準への取り組み状況と適用開始年度
図1●工事進行基準への取り組み状況と適用開始年度

 09年度を待たずに工事進行基準の適用を始めるのが日本ユニシスだ。同社は08年度から工事進行基準に移行する計画である。

 今回の会計基準の変更を前に、工事進行基準を適用したベンダーもある。野村総合研究所が95年度から、日立が01年度から、富士通が05年度から適用している。赤字案件の撲滅や国際会計基準への準拠が目的だ。

 工事進行基準とは、受託ソフトウエア開発における収益判定基準だ。ソフトウエア開発の進捗度に応じて、売り上げを計上するという方法である。09年4月以降に始まる会計年度からの適用開始が“原則”となる。

 これまで受託ソフトウエア開発の売り上げ判定基準は、ユーザー企業が検収した段階で計上する「工事完成基準」が一般的だった。

 工事進行基準に移行するためには、プロジェクト原価と収益の精緻な見積もりや進捗度の正確な把握が欠かせない。旧基準を採用していたベンダーがすぐに新基準に移行するのは容易ではない。