今回の調査では,開発対象となったシステム形態ではWebアプリケーションとクライアント/サーバー・アプリケーションが多かった。1681人の回答者のうち,42.5%がWebアプリケーションの開発,36.5%がクライアント/サーバー・アプリケーションの開発で開発支援ツールを利用したと答えた。

 では,開発対象となるプロジェクトの違いによって,利用されるツールやその満足度に違いはあるのだろうか。図1は,Webアプリケーションとクライアント/サーバー・アプリケーションを開発するときのツールの利用者数の比率をまとめたものだ。

図1●Webアプリケーションとクライアント/サーバー・アプリケーション開発時の分野別ツール利用者数
図1●Webアプリケーションとクライアント/サーバー・アプリケーション開発時の分野別ツール利用者数

 もともと,回答者がたずさわったプロジェクト自体,Webアプリケーションの方が6.0ポイント多い。そのため分野ごとのツール利用者の比率でもWebアプリケーションの方が多くなるのは当然だろう。だがそれを差し引いても,Webアプリケーションの方がツール利用者の比率が多いようだ。特に顕著なのが負荷テスト分野。ツール利用者全体の65.4%が,Webアプリケーションが開発対象のプロジェクトだ。

 Webアプリケーションは,クライアント/サーバー型のアプリケーションに比べると,負荷変動大きいシステムの開発が多い。そのため,負荷テストの要求も大きく,ツール利用者の比率が高くなったことが考えられる。

プロジェクト形態で異なる高満足度ツールの顔ぶれ

 図2は,分野ごとにWebアプリケーションとクライアント/サーバー・アプリケーションの開発でツールを利用したときの総合満足度をそれぞれ示したものだ。この結果を見ると,変更/構成管理以外の6分野では,Webアプリケーションとクライアント/サーバー・アプリケーションの総合満足度の差は0.3~2.2ポイントで,ほとんど同じだった。変更/構成管理分野では,Webアプリケーションの方が,5.4ポイント総合満足度が高かった。

図2●Webアプリケーションとクライアント/サーバー・アプリケーション開発時の分野別総合満足度
図2●Webアプリケーションとクライアント/サーバー・アプリケーション開発時の分野別総合満足度

 システムの形態別の総合満足度を,個々のツールで見てみると興味深い。Webアプリケーションの開発で,分野横断の総合満足度トップ3はすべてOSSで,1位「Subversion(変更/構成管理,86.1点)」,2位TortoiseCVS/SVN(変更/構成管理,83.3点),3位「Eclipse(プログラミング,81.4点)」の順である。トップ2を,変更/構成管理のツールが占めた。小規模短期開発,繰り返し開発の多いWebアプリケーションならではの結果といえる。

 一方,クライアント/サーバー・アプリケーションの開発における総合満足度上位は対照的な結果となった。トップ3はすべてOracleデータベース向けに特化した支援ツールであるシステムインテグレータの「SI Object Browser」シリーズだ。1位が分析/設計分野で94.5点,2位はプログラミング分野で88.9点,3位が単体テスト分野の84.9点だった。