米マイクロソフトの正式発表前に米ヤフー買収策を予測した人物がいる。インターネット企業をウオッチするブログサイト、 TechCrunch の編集長マイケル・アーリントン氏である。マイクロソフトの買収が失敗に終わった現在でも、アーリントン氏は「マイクロソフトは諦めていない」と主張している。TechCrunch日本版の翻訳者でネット事情に詳しい滑川海彦氏に、アーリントン氏やTechCrunchの主張を解説してもらった。

谷島 アーリントン氏は一貫して、マイクロソフトとヤフーが合併すべきだ、と主張しています。なにしろマイクロソフトが買収を発表する前から言っていますよね。

滑川 マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)が買収意図を公開する直前、テレビ番組でマイクロソフトに買収されることが、ヤフーが生き残る唯一の道、とマイクは主張していました。その様子が1月31日付のブログ「Happy Hourに出演、Yahooの厳しい状況について語る」に書かれています。

谷島 「番組の終わり近くに、シリコンバレーで根強くささやかれているウワサについて触れておいた。この先、Yahooがとても厳しい決断を迫られる事態に直面するのではないか」という下りですね。マイクロソフトの合併のほかに、利益向上のため米グーグルと提携してヤフーの広告システムを捨ててしまう、あるいは提携の時期を失してヘッジファンドに食い物にされて切り売りされてしまう可能性さえあると言っていました。

滑川 買収劇を予測した格好となった、この1月31日付ブログを読み直してみると「今後6ヶ月は、Yahooが長期的にみて独立したブランドとしてやっていけるかどうかを決めるものになりそうだ」とマイクは書いています。夏までに何らかの動きが出てくるのではないでしょうか。

谷島 マイクロソフトが買収断念を発表した後も、アーリントン氏はテレビに出ていましたね。

滑川 5月5日、チャーリー・ローズ・ショーというテレビ番組に出演し、マイクロソフトの買収提案の背景、取り下げに至る経過と理由、今後の展望、を簡潔に説明していました。大変筋の通った説明だと思いましたね。これもブログに「ArringtonとRoss SorkinがCharlie Roseの番組でヤフーを語る」という題名でアップされています。

谷島 まず、「マイクロソフトはなぜ敵対的買収に移らなかったか?」という点について話しています。4月にアーリントン氏が書いていた“焦土作戦”(関連記事「ヤフーは焦土作戦に向かう気か」)をマイクロソフトが嫌ったからではないのですか。