NTTグループは5月13日,NTT東西地域会社とNTTドコモの新社長人事を発表した。NTT東日本は高部豊彦氏に代わって江部努氏が,NTT 西日本は森下俊三氏に代わって大竹伸一氏が,NTTドコモは中村維夫氏に代わって山田隆持氏がそれぞれ社長に就任する。6月20日にある各社定時株主総会での承認を経て正式に決定する。

 今回の新社長就任により事業会社の社長は,留任するNTTコミュニケーションズの和才博美社長を含めて,持ち株会社の副社長経験者が4人中3人を占めることになった。同じ日に発表した新・中期経営戦略に沿って,今後も持ち株会社主導でグループ連携を強化していく姿勢を印象づけた(図1)。

図1●NTTグループ会社の新体制
図1●NTTグループ会社の新体制
留任した和才博美NTTコミュニケーションズ社長を含め,持ち株会社で要職を務めた幹部が事業会社の社長に就く。新たな中期経営戦略を打ち出したタイミングで,持ち株主導によるグループ連携の強化を意識した布陣となった。
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 NTT東日本の新社長に内定した江部氏は,NTT持ち株会社の副社長で中期経営戦略推進室長を務めてきた。江部氏は会見で「高部社長の築いた方針を継承し,NGN(次世代ネットワーク)の確実かつスピーディな展開,光サービスの拡充,黒字化による財務基盤の強化が使命」と方針を示した。

 江部氏の転出に伴い,持ち株会社の副社長には鵜浦博夫氏が就く予定。中期経営戦略推進室を改めた「新ビジネス推進室」の室長を兼務する。

NTT西は独自の中期戦略を推進

 NTT西日本は,現副社長の大竹氏が社長に就任する。大竹氏は「大役で身の引き締まる思い。グループ社員と力を合わせて中期経営戦略の目標を実現し,ブロードバンド・ユビキタスネットワークの早期実現につなげたい」と,グループ戦略に沿って光サービスを推進する姿勢を強調した。電力系事業者との競合が激しいNTT西日本は,5年間で2000億円の増収を目指す独自の中期経営戦略を2008年度から推進する。これをまとめた大竹氏が自ら陣頭指揮を執る。

 NTTドコモの山田氏も,同社副社長から社長に就く。同氏は2007年6月にNTT持ち株会社の副社長からドコモに移ってきた。会見では「競争が激化する一方で市場は飽和状態となり,大きな転換点を迎えている。ユーザー視点でニーズを把握し,満足度の高いサービスを提供していきたい」と述べた。

 山田氏は,移動通信市場の変化に対応する方策として,(1)2008年4月に発表した「新ドコモ宣言」の着実な実行,(2)イノベーションによる先進性の発揮,(3)現場原点主義──の3点を挙げる。(2)の先進性については「良い技術だから提供するのではなく,ニーズに合った技術でなければならない。 LTE(long term evolution)もインフラ構築が目的ではない。(グループ経営戦略の)融合サービスにも積極的に取り組む」とした。