ヨコオ執行役員の深川浩一経営企画本部長 |
車載通信機器などを製造・販売するヨコオは、ここ数年でトヨタ生産方式に取り組むなど、現場力の強化を重視している。2004年11月から群馬県にある富岡工場にトヨタ生産方式を順次導入し、製品在庫を6割減らすなど成果を上げてきた。この成功を中国の量産工場にも展開するため、日本で改善の中心となったメンバーを現地に派遣し、改善文化を根づかせることにも取り組んでいる。
その同社でIT(情報技術)戦略を担当するのが執行役員の深川浩一経営企画本部長だ。2007年から、ITの強化に力を入れ始めた。まず2007年3月までに車載アンテナ事業へ生産管理システムを導入し、在庫管理などを強化した。米国や香港などそのほかの海外拠点へも生産管理システムを順次導入している。
また、2008年6月から全社的に新たな会計システムの導入を開始。2008年度内には子会社12社で導入を終了させ、2009年度中には20社に導入する計画だ。
こうした基幹システムの刷新だけでなく、生産現場の業務改革を支援することも深川本部長の重要なミッションだ。2007年4月から特に力を入れて取り組んでいるのは、中国への生産移転の支援だ。例えば、これまで工場で使用する冶具や金型は、日本国内で設計していた。だがこれらの設計と生産を難易度の低いものから順に、中国へ移管しつつある。治具や金型の技術部隊を東莞友華汽車配件有限公司(ヨコオの中国法人)で現地採用の人員も含めて作る体制を作りつつある。「冶具など生産性に影響するものは現場密着で作るべき。改善活動を支えていきたい」(深川本部長)。このために深川本部長らIT部門は通信回線の増強や、情報漏えいを防ぎやすいシンクライアントパソコンの導入などに取り組んでいる。
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