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XPの“次”はVistaか?

第1回:行くに行けないVistaのジレンマ

菅井 光浩=日経Linux,安井 功=日経コンピュータ 2008/06/16 日経コンピュータ
出典:日経コンピュータ 2008年4月1日号44ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 「5年の歳月をかけWindows 9xパソコンを駆逐し、ようやくXPパソコンに統一したのに、もうVistaを検討し始めなくてはいけない。本当に悩ましい」。積水化学工業コーポレート情報システムグループ長の寺嶋一郎氏は、ため息交じりにこう語る。同社は、グループ全体で約2万台のパソコンを順次入れ替えて、標準機をXP に昨年統一したばかり。ホッとしたのもつかの間、XPパソコンの販売中止が目前に迫っている。

Vistaに振り回される企業が続出

 「Vistaを絶対に導入できない事情があるんです」。そう漏らすのが、テレビ東京システム開発室の大関潔システム部長だ。同社は、オフィスの入退室やXPパソコンのログオン管理、社員食堂の決済などで、FeliCa(非接触型ICカード)をフル活用している。ところが、FeliCaカードのクライアント・ソフトがいまだVistaに対応していないのだ。「社内で不可欠なFeliCaが利用できない以上、Vistaパソコンは使い物にならない」(大関氏)。

 「いずれはVistaを導入することになるのだろうが…」。取材で話を聞いた情報システム部門のパソコン担当者は、みな決まって語尾を濁す。「他社もまだXPのままのようだし、率先して入れ替える必要があるとも思えないし…」と、判断に迷う現場の声があちらこちらから聞こえてくる。

 だが2008年4月以降、多くの企業はVistaパソコンの導入に関して決断を迫られることになる。企業向けパソコンを取り巻く環境が大きく変化するためだ。

 変化の1つが、3月19日にダウンロード・サービスを開始した「Windows Vista サービスパック1(Vista SP1)」の登場である。パソコンメーカーは、Vista SP1を搭載した夏モデルのパソコンを4月から一斉に出荷する。Vista SP1と入れ替わるように、6月にはXPパソコンの販売が打ち切られる。

 もう1つの変化は、08年から09年にかけて、企業において大量のパソコンが入れ替え時期を迎える点だ。08年のビジネス向けパソコン市場の対前年成長率について、IDC Japanの浅野浩寿 PCsシニアマーケットアナリストは「7%前後のプラス成長」と予測する(図1)。大手企業が03年~04年にパソコンを大量導入し、それから4~5年が経過したことで、パソコンのリース切れや償却により需要を喚起するためだ。例えば、全社のパソコンを4年リースで運用しているテレビ東京の場合、約 1300台のパソコンのうち約800台のパソコンのリース切れが09年に集中している。

図1●企業向けパソコンの対前年成長率
図1●企業向けパソコンの対前年成長率
08~09年に、企業において大量のパソコンが入れ替え時期を迎える
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導入メリットがあまり見当たらない

 企業がVistaの導入を尻込みする理由はさまざまだが、一番多いのは「XPの環境に満足していて、Vistaにメリットが見いだせない」(積水化学工業コーポレート情報システムグループの原和哉担当部長)という意見だ。Vistaは、データ保護機能「BitLocker」など新機能を多数搭載している。だが、そうした機能が必要不可欠な企業は、すでにXP上でサードパーティのパッケージ製品などを組み合わせて同様の環境を実現している。XPで事が足りるため、新しいOSの必要性はほとんどない。

 XPからVistaへの移行のハードルが高い点も大きな問題となっている。テレビ東京が直面したような「必要不可欠なソフト/ハードがVistaで動かない」というのが典型例である。宴会の受付や顧客管理システムのプラットフォームとして富士通製のホスト・コンピュータを利用している帝国ホテルは、XP パソコン上でホスト・エミュレータを稼働している。ホスト・エミュレータのVistaの対応状況を富士通に確認したところ、「08年の第3四半期ごろになると説明を受けた。その一方で、6月末にXPパソコンの販売が終了してしまう。どういうつもりなのだろうか」(今井徹情報システム部長)と首をかしげる。

 Vista固有のハードルもある。GUIの大幅な変更と一般家庭への普及率の低さである。9xパソコンの後継として登場したXPパソコンは、一家に1台というレベルで爆発的に普及した。家庭でXPに慣れ親しんだユーザーは、企業でのXPの利用を前向きに受け入れた。

 一方、Vistaを搭載した家庭向けパソコンは、広くあまねく行きわたったXPパソコンがアダとなり、販売台数が伸び悩んでいる。XPへの移行期のときのように、社員が自宅のパソコンでVistaの操作をマスターしてくることは望めないし、Vistaへの関心も薄い。「ガラリと変わった操作方法を誰が教えるのか」(総合地所 企画部の山室和信部長)と指摘するように、教育の負担とコストが情報システム部門に重くのしかかる。

 「替えないで済むなら、ずっとXPを使い続けたい」。これが多くの企業の共通した意見だろう。だが、XPは6月末に販売が終了する。SP1が出たタイミングで、Vistaに移行すると覚悟を決めても、数年後に同じ作業の繰り返しとなる(図2)。OSの出荷開始後、約1年後にSP1が登場。半年から1年かけて移行の準備を進め、いざパソコンの横展開を開始すると新OSの情報が出始める。情報システム部門がWindowsの件で頭を悩まさずに済む期間は1年程度しかない。

図2●情報システム部門がWindowsで頭を悩まさずに済む期間は一年程度
図2●情報システム部門がWindowsで頭を悩まさずに済む期間は一年程度
新OSの出荷が始まると、情報システム部門は「動作検証」「導入計画策定」「次期OSの検討」などの作業に追われる
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新技術の登場も悩みの種に

 さらに事情を複雑にしているのが、パソコン以外の選択肢が増えてきたことだ。個人情報保護法の施行や内部統制といった法的要素で、経営陣からはセキュリティの向上が求められ、シンクライアントの動向にも注意を払わなくてはいけない。

 外回りや立ち仕事の多い業務部門を抱える企業では、モバイル・パソコンの代わりに台頭してきたスマートフォンを使いたいというニーズが急増している。

 こうしたなか、情報システム部門は、この数年間、人員削減の一途をたどってきた。積水化学工業は、たった5人でグループ会社の約2万台のパソコンを管理し、基幹システムも運用している。専任の担当者を置けない企業も多い。

 情報システム部門は、限られたマンパワーでマイクロソフトやパソコン・メーカーなどの動向をウオッチしながら、経営陣や業務部門のニーズにも応えなくてはいけない。まさにパンク寸前の状態だ。

 だが、見方を変えれば今の状況は、自社のクライアント端末の戦略を見直す絶好の機会ともいえる。6月に販売が打ち切られるXPパソコンだが、工夫次第で 7月以降も手に入る。絶対に避けたいのは、無策のままXPを捨てVistaに飛びつくこと。さまざまなクライアント端末の可能性も見えてきているなか、次期クライアントへの最善の移行シナリオを探った。

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