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世界のICT競争力ランキング,北欧5カ国が上位の理由

英BTグループ テクノロジー&イノベーション
日本・韓国担当副社長
ヨン・キム 英BTグループ テクノロジー&イノベーション
日本・韓国担当副社長
ヨン・キム

 ICT(情報通信技術)が各国の競争力を確実に向上させることは誰もが知っている。しかし,それぞれの国のICT競争力を比較することは案外難しい。 “ダボス会議”という呼び名で知られる「世界経済フォーラム」(world economic forum)が,2001年から発行している報告書「ネットワーク成熟度指標」(networked readiness index)は,世界各国のICT競争力を測る指標の一つとして参考になる。全部で400ページもある2007年-2008年版が,2008年4月に公開された。

 この報告書の中で特筆すべきことは,デンマーク,スウェーデン,ノルウェー,フィンランド,アイスランドの北欧5カ国すべてが,過去8年間に5回も10 位以内にランクされていることである。ノルウェーだけが過去3回,10位以内から脱落したが,その他の国はこの8年間ずっと10位以内に名を連ねる。今回の報告書でも,5カ国すべてが10位以内にランクされている。ちなみに日本は19位だ。

教育とイノベーション推進が原動力

 北欧各国に共通する強みとは,教育とイノベーション,一貫性のある政府のビジョン,ICTをサポートする環境が整っていることではないか。

 私の経験では,北欧5カ国は非常に優れたブロードバンド環境が,ネットワークのアクセスおよびコア(幹線)の両面に渡って整備されている。特にデンマークの環境は素晴らしい。

 クラウド・コンピューティングや高品質のブロードバンド・ネットワークが進化したおかげで,将来のICT産業のビジネスモデルは,ネットワークとソフトウエアを融合したSaaS(software as a service)が一つの軸になりつつある。デンマークの政府当局は,SaaSの発展を後押しするように,ネットワーク事業とサービス事業を水平分離するフレームワークを導入した。

 おそらく世界で最も先進的なこのフレームワークによって,様々なプレーヤーが手軽にネットワーク・インフラを活用できるようになった。これによってネットワークとソフトウエアの融合が進んでいるわけだ。

 デンマークの政府当局は様々な形で通信業界に介入するが,オープン・イノベーションを推進し,世界的なビジネスに育てようと積極的に動いている。その結果,世界経済フォーラムに見られるようにデンマークを世界有数のICT競争力を持つ国にした。

 もう一つ重要なポイントは,北欧各国に見られる教育の質の高さである。北欧5カ国すべてが特に数学と科学に重点を置き,教育分野で非常に高い評価を得ている。それに加えて,私の見るところでは,この5カ国の人々はビジネスの折衝に耐えうる英語能力を持っている。都市部だけではなく,地方に行ってもそれは当てはまる。多くのインターネットの情報は英語で提供されることがほとんどだ。先端の情報を得るために英語能力は必須となる。

 世界経済フォーラムの報告書から言えることは,国の競争力を高めるためには,国を挙げてのイノベーションの促進と,英語能力が欠かせないということだろう。

ヨン・キム(Yung Kim) 英BTグループ テクノロジー&イノベーション
日本・韓国担当副社長
 4月末に「SOFNET」というシンポジウムがロンドンで開催され,未来のネットワーク・サービスとソフトウエア・ビジネスについて活発な意見が交わされた。SaaSのビジネスモデルへの期待は高いが,通信事業者がSaaSの業態へ変化できるかについて多くの人が疑問を呈している。英BTはSaaS推進派の一社なので注目を集めている。来年のこのシンポジウムには,米グーグルや米フェイスブック,米セールスフォース・ドットコムなどに参加してほしいと思っている。
 [2008/06/27]
出典:日経コミュニケーション 2008年6月1日号  99ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

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