IPTVテクノロジの本質

 2008年3月31日,NGN商用サービスの開始と同時に,その最大のキラー・アプリケーションと目されるIPTVが始まった。その第1弾は,NTTぷららとアイキャストが提供する「ひかりTV」だ。

 ひかりTVは,既存の「Bフレッツ」や「フレッツ・光プレミアム」のユーザーと,商用NGNサービス「フレッツ 光ネクスト」のユーザーの両方が利用できる。基本となる多チャンネル放送とビデオ・オンデマンド(VOD)のIPTVサービスは両方のユーザーが利用できるが,地上デジタル放送を光ブロードバンド回線で再配信する「IP同時再送信」はNGNのユーザーだけが利用できる。

 IP同時再送信は,5月9日にようやく始まった。開始予定の3月31日から1カ月強の遅れだ。まずは東京都内が提供エリアとなる。在京9チャンネル──NHK総合,NHK教育,日本テレビ,テレビ朝日,TBS,テレビ東京,フジテレビ,TOKYO MX,放送大学──の地上デジタル放送を,フレッツ 光ネクスト経由でひかりTVの契約ユーザーに配信する。

 続いて5月23日,大阪府内でもIP同時再送信が始まった。NHK総合,NHK教育,MBS毎日放送,ABCテレビ,テレビ大阪,関西テレビ,読売テレビ--の7チャンネルが対象である。

 広義のIPTVは,IPネットワークで映像を配信するサービスや技術を指す。その意味では,NGNではない閉域IPネットワークを利用したBBケーブルの「BBTV」やKDDIの「MOVIE SPLASH」,さらにインターネットをベースにした「アクトビラ」や「YouTube」もIPTVに含まれるだろう。

 ただ,IPTVサービスを提供するうえで,大容量の映像データを品質を維持しつつ低遅延で配信するためには,NGNとの連携が有効になる。一方でNGNには,IPTV実現のための特別なQoS(quality of service)制御の仕組みを実装する必要がある。

第1回【サービス概要】光ブロードバンドに載るVODとリニアTV 
第2回【システムの全体像】IP網で高品質映像を配信 
第3回【DRM】地デジより強力な暗号化方式を採用 
第4回【映像配信】SIPベースのQoSとFECで映像品質を維持