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プロジェクト・マネージャの「やってはいけない」

[計画編]キックオフ・ミーティングを省いてはいけない

2008/06/02 ITpro

 右も左も分からない状態でプロジェクトがスタートすることを望むメンバーはいない。やる気も起きないし,モチベーションも低下してしまう。そうならないように,チームを発足する際にプロジェクト・マネージャ(PM)は,キックオフ・ミーティングを開催する。そこで,プロジェクトの概要や重要事項の説明,メンバーの自己紹介,チーム内での役割や作業分担を明確に指示する。このキックオフ・ミーティングを省いてはいけない。

 重要なのは,プロジェクトを成功へ導くために,メンバーと使命感や一体感を共有することである。キックオフ・ミーティングは,プロジェクト概要を説明する場だけではない。メンバーの不安を解消すると共にやる気を起こさせ,同じ方向へ気持ちを向けさせるチーム作りの場でもある。ベンダーと顧客の双方が参加するキックオフ・ミーティングは,より効果がある。

 プロジェクトの多くは,スタート時にスコープが明確に確定していなかったり,要員の確保がすべて整っていなかったり,スケジュールが確定していなかったりする。このような場合,PMはついキックオフ・ミーティングの開催を見送りたくなるが,その開催を省いてはいけない。メンバーには「ここまでは確定しているが,ここから先は未確定でこのようなリスクがある」と情報を公開し,リスクを共有することだ。リスクを共有することで,プロジェクトに一体感が生まれてくるはずである。

 では,どのようにキックオフ・ミーティングを進めればよいのか。実際のプロジェクトのアジェンダ(図1)を参考に解説する。

図1●キックオフ・ミーティングのアジェンダの例
図1●キックオフ・ミーティングのアジェンダの例

プロジェクト開始時点で良いチーム状態を期待するのは無理

 まず「プロジェクトの目的」「システム概要」「プロジェクトの日程・コスト」など重要事項をメンバーに説明する。特に,顧客が何を解決したいのか,何を望んでいるのか(期待成果)などを理解しておく必要がある。

 次に「プロジェクト体制」でメンバーへの期待や役割について説明する。体制はレポーティングシステムのレポート・ラインやメンバーの育成にもつながるので,どのような体制を作るかはPMの腕の見せ所でもある。図2左のような体制図を作成するPMがいるが,一人のリーダーが仕事を抱えながら,一体何人の担当者の面倒を見られるだろうか。リーダーの技量にもよるが,それを見極めないとリーダーに作業が集中し,ボトルネックとなって工程遅延を引き起こしてしまう。このような場合は,次のリーダー育成も兼ね,サブリーダーを設置し階層化するなど工夫が必要である(図2右)。メンバ―の育成も,PMの仕事の一つであることを忘れてはいけない。

図2●プロジェクト体制の悪い例,良い例
図2●プロジェクト体制の悪い例,良い例

 そして「メンバーの自己紹介」。各メンバーはプロジェクトを通して,スキルアップすることが求められる。そのことを自覚させ,スキルアップを意識させるように自己紹介をさせるとよい。

 「プロジェクト管理方法」では,日々の作業をどのように進めていくか,各工程の進捗管理をどのような定量的数値で管理していくかを明確にする。日々の作業の進捗状況や問題点,連絡事項などといった情報を,誰にどのようなルートで伝達するかを「レポーティングシステム」で明確にし,メンバーへ徹底する。

 会議はプロジェクトの意思決定の場でもあり,顧客や協力会社とメンバーとの接点にもなる。「各種会議体」の位置付けや目的を明確にして,全員が理解しておく必要がある。そうしないと,決められた時間内で効率的に会議を進められなくなる。

 「Q&A」も重要である。メンバーとのコミュニケーションは双方向でなければならない。PMは自分のやり方を一方的に押し付けるのではなく,メンバーの意見を聞くことも大事だ。メンバーの意見を必ず取り入れろといっているのではなく,プロジェクト内で問題が発生したときに情報が速やかに上がってくる環境を作っておけということである。

 キックオフ・ミーティング終了後,懇親会を行なうのも効果的な手段の一つである。一見,仕事に関係ないように思えるが,円滑なコミュニケーションは,お互いを知ることから始まる。

 以上のことをキックオフ・ミーティングで行い,細かな指示を与えなくても各メンバーが状況に応じて適切に判断し行動できるようにする。あるいは,困っているメンバーを支援しあったり,他のメンバーに不備があれば指摘しあい,問題はチームの問題として捉えられるようにメンバーのモチベーションを向上させる。PMは,このようなリーダーシップをプロジェクト開始前に発揮し,メンバーから信頼を得るようにしていく。

 そもそもプロジェクトの開始時点で,良いチーム状態を期待するのは無理である。良いチームは,自然発生的に生まれるわけではない。PMがリーダーシップを発揮して,よいチームを作り上げていくものである。


千種 実(ちくさ みのる)
日立システムアンドサービス
プロジェクト推進部 部長
1985年,日立中部ソフトウェア(現 日立システムアンドサービス)に入社。入社以来,一貫してプロジェクト管理に従事。PMOの立場でトラブル・プロジェクト支援を数多く経験した後,社内のプロジェクト管理制度の構築やプロジェクト管理システム(PMS)開発およびプロジェクト支援,プロジェクト・マネージャ教育講師に携わる。また,他社のプロジェクト管理に関するコンサルティングや研修講師,講演などを経験し,現在もPMOの立場からITプロジェクトを成功へ導くために幅広く,社内外で活動中。1962年,三重県出身。岡山理科大学理学部応用物理学科卒。

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