写真1●Google Maps API for Flashのセッションを担当するGoogleソフトウエアエンジニアの加藤定幸氏
写真1●Google Maps API for Flashのセッションを担当するGoogleソフトウエアエンジニアの加藤定幸氏
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写真2●OpenSocialのセッションを担当するGoogleソフトウエアエンジニアの丹羽智史氏
写真2●OpenSocialのセッションを担当するGoogleソフトウエアエンジニアの丹羽智史氏
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 Googleは2008年6月10日に,開発者向けイベント「Google Developer Day 2008 Japan」を横浜で開催する。Google Developer Dayは2008年5月28日サンフランシスコで開催するGoogle I/Oを皮切りに,世界13カ国で順次開催される。Android,OpenSocial,App Engineといった技術を解説するセッションや,ハンズオン形式のトレーニングも行われる。

 イベントに先立ち,Google Maps API for Flashのセッションに登壇する加藤定幸氏(写真1),OpenSocialのセッションに登壇するGoogleソフトウエアエンジニアの丹羽智史氏(写真2)に,セッションの概要と見どころを聞いた。

Google MapsがFlashに対応

 位置情報を検索できるGoogle MapsのFlash版,Google Maps API for Flashのセッションは基本概要の説明が主になる見通し。新しい技術なので注目が集まりそうだ。

 同APIを利用するとAjax版では難しかった地図の回転が簡単にできる。カーナビゲーションのように移動中,常に北を上にした位置情報の表示などが可能だ。Flashならではの様々な動的効果と位置情報の併用が期待できる。

 Ajax版同様,地図のビットマップ・データに関する使用ポリシーの問題で,プログラム上の操作にいくつかの制限が出るのでは?との懸念もある。この点はGoogleとしても気になるところだと加藤氏は述べ,ビットマップ・データの変形やエフェクト付与には注意しなければならない点もあるのは事実とした。

 とはいえ,日本市場のFlash開発現場の熟練ぶりについては,世界的な注目度も高いという。加藤氏は「日本は他国に比べFlasher(Flash制作者)が多い。ゲーム系で面白い活用法が出てくることを期待している。」と述べる。

 同APIを2008年5月14日に正式発表してから,すでに日本ではドライビングゲームなどいくつかのマッシュアップ・コンテンツが公開されている。APIの正式公開を告げるブログのエントリに対して日本人がトラックバックをつけたタイミングも実に早かったそうだ。この反応の早さには米国スタッフも驚いたという。米国では日本語が読めなくてもプログラムが面白いという理由で日本語ブログを閲覧する開発者が少なくないらしい。「ぜひ我々を踏み台にして世界にアピールしてほしい。」(加藤氏)と期待を語った。

OpenSocialは今後,モバイル環境も視野に

 SNSサービスをプラットフォームとするソーシャル・アプリケーション作成APIセットのOpenSocialは,本イベントの柱という存在だそう。今回セッションに加えてハンズオンのコードラボ(GoogleではHackathonと呼ばれているセミナー形式)でも取り上げる。

 セッションでは基本的な話からプレビューリリース版のGoogle Friend Connect(友人関係をガジェットとして埋め込むことを可能にする仕組みのこと)やOpen IDについての解説を入れる予定。

 OpenSocialの特徴はなんと言ってもガジェット作成が非常に簡単な点だという。対応を表明しているSNS上で動くので,利用者の多いMixiで対応が始まれば普及が進む可能性もある。今後RESTful APIとOpenSocialの連携が実現すれば「友人の友人」という検索手段も使えるようになり,活用の幅も広がりそうだ。

 コードラボでは簡単なアプリケーションをその場で作ることに挑戦するという。コードラボは定員30名で先着順の受付を予定しており,会場には数名のGoogle所属の開発者がチューターとして付く。

 コードラボの参加に関する丹羽氏からの注意点は「Orkutで友達を作ってくること」。確かにOrkutを利用して友人関係を表示するガジェットを作る時,Orkutにひとりぼっちでは作りようがない。「友人を作るためだけのコミュニティもあるので活用して,当日まで友達を作ってほしい」(丹羽氏)。

 サーバー間通信を可能にするRESTful APIとOpenSocialの連携が実現すると,今後モバイル環境でも動作するソーシャル・アプリケーションの開発も視野に入ってくるとのこと。これを見越した開発者の動きが活発化することも予測している。モバイル用プラットフォームAndroid SDKに関するコードラボの開催も決まった。モバイルはGoogleにとって重要な技術要素になってきたようだ。