JavaOne 2008 Report

基調講演というと一般的にはKeynoteですが,JavaOneではGeneral Sessionといいます注1

General Sessionは毎日行なわれ,Sun Microsystemsがホストするのは初日と最終日,2日目と3日目はプラチナスポンサーによるものです。

初日のGeneral Sessionは3部に分かれています。

通常の意味のGeneral Sessionは午前中に行なわれます。このSessionには,SunのCEOのJonathan Schwartz氏や,ソフトウエア部門を統括するRich Green氏が登場します。

午後には,技術的な話題にフォーカスしたGeneral Sessionが行なわれます。

まず,Java SEとJava EEのTechnical General Sessionが,その後Java MEのMobility General Sessionが行なわれます。

筆者は初日のGeneral Session,Technical General Session,そして最終日のGeneral Sessionに参加しました。

そこで,今週のJavaOneレポートは,このSunによるGeneral Sessionの話題をお届けします。

JavaOne Opening(5/6 General Session)

General Sessionの会場はMoscone SouthのHall BとHall C。ここはなんと5000人以上のキャパシティがあるというのですから,とても広いです。それでも,その広い会場が埋め尽くされてしまうほど多くの人がつめかけます。

いい席を確保したいのであれば,セッション開始の1時間ぐらい前に並びはじめなければなりません。筆者も1時間前から並んだおかげで,いい席をゲットできました。

General Sesssionは,前座として何らかのパフォーマンスが行なわれます。今年はHip Hop系ダンスユニットのパフォーマンスがありました(図1)。間近で見るダンスパフォーマンスはとても迫力があります。

そして,John Gage氏,James Gosling氏,Chris Melissinos氏による恒例のTシャツ投げ(図2)。

今回はオーソドックスにパチンコスタイルで,次々とTシャツを投げます。

その後,再びダンスユニットによるパフォーマンスが行なわれました。今度は30年代のコスチュームを身にまとい,ちょっと大人の雰囲気です(図3)。

そして,再びJohn Gage氏,James Gosling氏,Chris Melissinos氏らがMCとして登壇(図4)。

John Gage氏はすべてのJavaOneでMCを行なっており,まさにJavaOneの顔というべき存在です。そして,John Gage氏といえば,"Don't be Shy!"。今年も,まずこのJavaOneのルールを説明してからすべてが始まります。

毎年,本編の前になんらかの小ネタが用意されているのですが,今年,彼らが取り出したのはSentilla社の環境計測用機器のMote(図5)。

マッチ箱程度の大きさで,CLDCが動作し,温度やCO2を計測することができます。

会場には,Moteが設置してあり,計測地をリアルタイムに監視することができます。セッションの中では,JavaFXを用いて作成されたGUIでモニターするというデモを行いました。

ダンスパフォーマンス Tシャツ投げ
図1 ダンスパフォーマンス 図2 Tシャツ投げ
ダンスパフォーマンス John Gage氏(中央)
図3 ダンスパフォーマンス 図4 John Gage氏(中央)
Sentilla Mote
図5 Sentilla Mote

続いて登壇したのは,Rich Green氏(図6)。

今年のJavaOneのキーワードはJava+You(図7)。そのキーワードをあらわすものとして,AmazonのブックリーダーKindleを紹介しました(図8)。あまり知られていないことですが,Kindleのリーダー機能はJavaで実装されています。

ここで,Rich Green氏が強調するのが,ユーザー・インタフェースの重要性です。それに対するSunの答えが,JavaFXです。この後,JavaFXの四つのアプリケーションが紹介されました。

  • LiveConnect
  • Flickr/Flockr
  • 3Dのビデオ再生
  • JavaFX Mobile

LiveConnectは,FlickrとTwitterをマッシュアップしたFacebookのウィジェットです。Facebookのウィジェットですから,もちろんブラウザ上で動作します。つまり,AppletとしてJavaFXが動作するのです。

このようにJavaFXをAppletとして快適に動作させるため,ConsumerJREでは新しいPluginが開発されています。このPluginを使用すると,ドラッグ&ドロップなど今まで実装が困難だった機能を実現することができます。また,ブラウザのプロセスとは別プロセスで動作させることも可能になります。

このLiveConnectは携帯電話,つまりJavaFX Mobileでも実行することが可能です。このとき,JavaFX Scriptは一切変更することがありません。

Flickr/Flockrはキーワードを入力すると,そのキーワードに応じたFlickrの写真を3D的に表示するアプリケーションです。

Rich Green氏が入力したキーワードはJames Gosling。そして,その時に表示されたのは... なんと,筆者が昨年(2007年)のSun Tech Daysで撮った写真(図9)でした。これには筆者もびっくりです。

3Dのビデオ再生は,ビデオを再生しているボリゴンを球状に配置していくアプリケーションです。ビデオの再生数は増減することが可能で,再生数が多くなってもスムーズに再生ができることを示しました。

最後のJavaFX Mobileのデモは,GoogleのAndroidエミュレータ上でLiveConnectを動作させたものです(図10)。Androidを搭載予定の携帯電話は多くあるので,一気にJavaFXが広まるかもしれません。