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NAB Show 2008講演レポート

消費者主導というミッションを打ち出す--動画配信サイトHuluのCEO

2008/05/20 ITpro

情報通信総合研究所
主任研究員
志村 一隆

 動画配信サイトの米Huluのジェイソン・カイラーCEOは,「映像ビジネスは生活必需品を扱うわけではないので,誰にでもわかりやすいサービスが必要だ」と「NAB Show 2008」で語った(写真1)。Huluは,米国のFOXとNBCのジョイント・ベンチャーで,2008年3月12日に正式にインターネットを利用経由の動画配信サービスを開始した。NAB Showは全米放送事業者協会(NAB)が主催するイベントで,今回は2008年4月11~17日に開催された。

写真1●NAB Show 2008 で講演するカイラーCEO
写真1●NAB Show 2008 で講演するカイラーCEO
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 Huluの具体的なミッションは,「消費者が,簡単に,いつでも,世界中のプレミアム・コンテンツを見つけ,楽しむことを助けることで,使い勝手のよいサービスを志している」(カイラーCEO)という。使い勝手のよさの追求の表れとして,「Huluの検索は,他局のサイトのコンテンツも対象にしている」と胸を張る。

 カイラーCEOは,ハーバード大学でMBAを取得,アマゾンのDVD,CD販売の責任者を務め,昨年3月にHuluにヘッド・ハンティングされた。オープンな印象を与える人物で,講演でも質問を気軽に受け付けていた。

Huluサイト・デザインには三つのこだわりが

 カイラーCEOは,サイト・デザインには三つのこだわりがあると説明。消費者主導ということを意識し,Huluのサイトを「自分の母親でも使いこなせるようなサイトであることを目指した」そうだ。実際,「母親にテスト版を送り,母親の好きな映画を見てもらって,操作性をテストした」という。わかりやすさと同時に,ほかのサイトにない機能も付け加えている。

 たとえば,「動画のなかから自分の好きな場面だけを切り取り,マイスペースなどで友人と共有できる機能である」(カイラーCEO)。「好きな場面をアーカイブ化したり,友達とシェアしたりするのは我々のミッションの一部である」と語りながら,カイラーCEOはデモを交えて説明した。また,「すべての機能がワンクリックで済むようにサイトをデザインしている」と使いやすさを強調。実際,このシェア・サービスはユーザーから支持されており,「サービス開始から約1カ月で利用回数が10万5000を超えている」(カイラーCEO)という。

 “Not like Tokyo Night”を目指したこともこだわりの一つ。Tokyo Nightとは,東京の繁華街のように,サイト上にいろいろなバナー広告やリンクが張られ,どこにコンテンツがあるかわからないようなサイトのこと。つまり,コンテンツがどこにあるかが一目でわかるサイトを目指した(写真2)。「映像はサイトの中央に置いて見やすくし,映像が始まるといろいろなリンク・ボタンはすべて消して映像に集中できるようにした」(カイラーCEO)。

写真2●「コンテンツがどこにあるかが一目でわかるサイトを目指した」とカイラーCEO
写真2●「コンテンツがどこにあるかが一目でわかるサイトを目指した」とカイラーCEO
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 三つ目のこだわりは,動画画面のアスペクト比(横縦比)である。多くの動画配信サイトは4対3を採用しているが,「Huluは16対9を採用し,デジタル・テレビ,映画と同じにし,YouTube,CBS.comなどと差別化を図っている」(カイラーCEO)という。

 Huluのロゴを小さくしたこともカイラーCEOの考え。「消費者は,チャンネルではなく番組,キャストを見たいのであって,配信プラットフォームの知名度は,あまり重要でない」(カイラーCEO)と分析したうえでの判断である。

「YouTubeよりも安心」とコンテンツ・ホルダーに呼びかけ

 ビジネスモデルの説明で,カイラーCEOはYouTubeを引き合いに出した。YouTubeにコンテンツを提供すると,映像のコピーが巷にあふれる結果になるが,「Huluならば,DRM技術がしっかりしているので,コピーされることもない」(カイラーCEO)と説明。「セキュア性と広告の収益性を背景に,既に50社のコンテンツ・ホルダーからコンテンツの提供を受けている」と実績を語った。

 さらにカイラーCEOは,コンテンツ・ホルダーに認識を改めてHuluとの提携を促すメッセージを語った。まず「保守的にならずに,積極的になって欲しい」(カイラーCEO)。テレビの視聴者離れに触れ,「コンテンツ・ホルダーは,消費者がインターネットを使う時間が増えているのだから,もっと積極的にインターネットのメディア開拓をするべきだ」(カイラーCEO)と話した。

 そして,米国では「アメリカン・アイドルのコンテンツは2500万人が見ているといわれるが,裏を返せば2億7800万人は見ていない。Huluの映像シェアリング・サービスなどを利用すればもっと多くの消費者に自社コンテンツを広めることができる」(カイラーCEO)とコンテンツ・ホルダーに呼びかけた。

視聴者の声を披露,終了した番組の配信にニッチな価値が

 講演で,視聴者からのメールを何通か披露した。その一つが「Arrested Development」という2年前に放送終了になったテレビ・ドラマのファンからのメール。「どこを探しても見られなかった番組がHuluで視聴できて感動した」という趣旨で,テレビやDVDでは流通できないニッチなテレビ・ドラマも,Huluならばアーカイブとして利用しやすく,視聴者とコンテンツ・ホルダー双方にメリットがある,という解説を加えた。

 講演後,会場からいくつかあった質問のうち印象に残ったのは,こうした動画配信ビジネスは「親会社の放送ビジネスから市場を奪うのではないか?」というものである。カイラーCEOは,この質問に対し,「親会社は,市場の食い合いはあるだろうが,それよりももっと大きな社会の変化,動画視聴の行動変化を認識してHuluを始めた」と答えた。

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