言うまでもないことだが,システム開発で,要件定義と実装を結びつける外部設計書(あるいは基本設計書)は,非常に大切だ。

 この外部設計書。ほとんどのエンジニアは,自社の開発標準に則って作成していることと思う。しかし,外部設計書の書き方やレビューの方法に関するノウハウは,意外に世の中に存在しない。実際,「外部設計」や「基本設計」そのものを取り上げて深掘りした書籍はほとんどない(オブジェクト指向設計やUML,データベース設計,要件定義も含めた上流工程の書籍は結構あるが)。

 このため,「どんな設計書が良い外部設計書なのか分からない」というエンジニアも多いのではないだろうか?筆者が以前所属していたITエンジニア向けの雑誌「日経ITプロフェッショナル」にも,毎月のように「設計ドキュメントの書き方を特集してほしい」という意見が寄せられていた。

 外部設計書の書き方で悩んでいるエンジニアに,ぜひ一度見てほしいのが,発注者(ユーザー企業)側から見て分かりやすい外部設計書の書き方やレビューのコツをまとめた「発注者ビューガイドライン」である(関連記事)。

 これは,NTTデータ,富士通,NEC,日立製作所,構造計画研究所,東芝ソリューション,日本ユニシス,OKI,TISの9社が参加した「実践的アプローチに基づく要求仕様の発注者ビュー検討会」(以下,発注者ビュー検討会)が作成したもので,2007年9月に「発注者ビューガイドライン(画面編)」が公開され,2008年3月に「発注者ビューガイドライン(システム振舞い編)」と「発注者ビューガイドライン(データモデル編)」が公開された。発注者ビューガイドラインは,発注者ビュー検討会のホームページからPDFの形でダウンロードできる。

 記者は,発注者ビューガイドラインに書かれた内容は,システム設計に携わるITエンジニアにとって,とても有益と考えている。そこで,発注者ビューガイドラインの内容を多くのITエンジニアに分かりやすく伝えるために,発注者ビュー検討会のメンバーに連載の執筆をお願いすることにした。

 タイトルは「だれも教えてくれなかった外部設計の『極意』」。発注者ビューガイドラインの内容をベースにして,分かりやすい外部設計書,つまり「良い設計書」を書くためのコツ,良いレビューを実施するためのコツを解説していく予定である。既に,第1回は公開済み。今後,2週間に1回くらいのペースで記事を公開していく予定なので,ぜひ,よろしくお願いします。