アナログTVの電波は地デジに移行するとどうなる?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
小泉 純子
総務省 総合通信基盤局 電波部
電波政策課 周波数調整官

 現在のアナログのテレビ放送は2011年7月24日に終了し,地上デジタル放送に移行する予定です。そうなると,現在アナログ放送が使っている電波が空きます。まず,2011年7月25日に,90M~108MHz(1~3チャンネルに相当)と170M~222MHz(4~12チャンネルに相当)が空きます。また,現在アナログ放送とデジタル放送が共存している470M~770MHz(13~62チャンネルに相当)については,アナログ放送の終了後,1年をかけて整理を行い,2012年7月25日からは,710M~770MHzも空き周波数となります。

 この合計130MHz幅の空き周波数をどう有効利用するかは,現在検討している最中です。

 2006年3月,総務省が,空いた帯域をどう利用するか一般から提案を募集したところ,149件の提案が寄せられました。ただ,これらすべてを盛り込むには空き帯域が足りません。そこで,総務大臣の諮問機関である情報通信審議会の下に,電波有効利用方策委員会を設置し,その下に提案者などを中心に構成した作業班を設置して検討を進め,2007年3月には,提案を用途別に四つに分類する原案がまとまりました。

 具体的には,(1)移動体向けマルチメディア放送などの放送,(2)災害時などの活用が見込まれる自営通信,(3)携帯電話などの電気通信,(4)高度道路交通システム(ITS)――の4種類の用途です。

 今後さらに議論を進め,2007年6月頃には方針を固めます。今のところ90M~108MHzと170M~222MHzは(1)と(2)に, 710M~770MHzは(3)と(4)に使うことになる見通しです。今後は周波数が空く2011年から2012年に向けて,具体的にどんなシステムを採用するかなどの検討が行われる予定です。