2007年度に最も多くの商材でパートナー企業の評価を得たITベンダーは、日立製作所だった。本誌が毎年実施している「パートナー満足度調査」で明らかになった。日立は、PCサーバーやストレージのほか、新たに調査対象としたブレードサーバーなど5部門を制覇した。日立に次いで評価が高かったのは富士通だ。UNIXサーバーと法人向けデータ通信サービスの2部門で首位に立った。

 2006年の調査では無冠に終わった日立製作所が、今年は5冠を達成した(図1)。2006年6月に設置した組織「プラットフォーム拡販推進センタ」を通じた取り組みが、同社の評価を押し上げた。日立の武本秀徳ゼネラルマーケットビジネス統括本部長は、「プラットフォーム拡販推進センタの活動成果が、ようやく出てきた」と胸を張る。

図1●主要IT商材13分野におけるパートナー満足度の上位ベンダー

 同組織は、パートナーの相談窓口として、さまざまなニーズに対応するために設置された。製品のジャンルを問わず、技術・見積りの支援や提案すべきシステム構成の事前評価、技術トレーニング、マーケティング・営業活動支援を一手に引き受ける。

 「今後の期待も含めてだろうが、パートナーにとってのワンストップ窓口ができたことが、全体的に良い評価につながったと認識している」と武本 本部長は話す。

 日立と逆の結果になったのがNECだ。前回は3部門でトップだったが、今回は無冠に終わった。昨年、NECと並んで3部門でトップとなった富士通と日本オラクルも、今回は、2部門(富士通)と1部門(日本オラクル)でトップになっただけだった。

 本調査は毎年、上位の顔ぶれが大きく入れ替わる傾向がある。ITベンダーの取り組みは、パートナー企業の業績をも左右しかねないほどの影響力を持つ。毎年のITベンダーの施策に応じてパートナー企業の満足度が高くも低くもなるのは当然のことだ。

 競争の厳しい商材分野では、パートナー企業同士の競争も激化する。競争を勝ち抜くためには、ITベンダーへの要望も高くしていかざるを得ない。前回の調査で支援体制の評価が高かったとしても、同じ施策を継続するだけで再度、高く評価されるとは限らないのだ。また、ITベンダーが新製品を投入しても、パートナー企業の要望に沿っていなかったり、タイミングがずれていたりすると、高い評価に結び付かないこともあり得る。

 ITベンダーは常にパートナー企業の厳しい選別の目にさらされている。今回、PCサーバーの分野で首位を奪われたNECは、早くも既存パートナー企業との関係を強化するための新施策を検討し始めた。ネットワーク/システム運用管理ソフトで首位を明け渡した富士通は、「パートナー企業からは2007年の春ごろから強い要望があった」という中小規模向けパッケージを昨年12月に製品化しており、失地回復を狙う。