NTTドコモはWindows Mobile端末を集中管理するための法人向けサービスを年内に投入する。端末の設定やアプリケーションのインストール,機能の制限などを,管理者が遠隔から複数台の端末に対して同時に実行できる点が特徴だ。5月下旬からフィールド・トライアルを開始し,早ければ今秋にも商用化する。

 NTTドコモの狙いは,Windows Mobile端末の企業利用を促進することにある。端末を遠隔から管理できれば,企業は安心してWindows Mobile端末を導入できると考えた。「Windows Mobile端末は機能が豊富で,一般の端末に比べて設定項目が多い。システム部門で集中管理できるようにしたいという強い要望がある」(サービス&ソリューション開発部の三井力・サービス開発推進担当主査)。

 今回開発した管理システムの主な機能は,(1)アプリケーションの配信・削除,(2)設定管理,(3)状態監視,(4)機能制限など。(1)は管理者が業務アプリケーションの一括インストール/アンインストールを指示できる。(2)はメールやブックマーク,ActiveSync(メールやスケジュールの同期機能)の設定,(3)はメモリー使用量やバッテリ残量,SDカードの使用サイズ,未読メール数,最近利用したアプリケーションなどの監視が可能である。ユーザーの設定支援やトラブル対応に役立つ。

 (4)はカメラや赤外線,microSD,Bluetoothの利用を禁止できる。該当機能のアイコンを非表示にしたり,利用時に警告したりする。紛失・盗難時に遠隔からロック・初期化する機能も備え,ロック後の画面に「端末を取得した方はシステム部門まで連絡して下さい」といったメッセージも表示できる。

 FOMA網だけでなく,無線LANとインターネット経由でも遠隔制御できる(図1)。端末側のエージェント・ソフトウエアのサイズは数百Kバイト。インストールには「ユーザーの承認操作が必要だが,センターからショート・メッセージを送信することで自動ダウンロードさせられる」(三井主査)。ユーザーがエージェントをアンインストールできないようにする仕組みもある。1回の管理・制御で生じるトラフィックは「上り下り合計で平均数Kバイト」(三井主査)という。

図1●NTTドコモが開発したWindows Mobile端末の管理システム
図1●NTTドコモが開発したWindows Mobile端末の管理システム
管理者は遠隔からアプリケーションの配信,設定や状態の管理,紛失・盗難時のロックなどを実施できる。今秋以降の商用サービス化を検討している。
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 NTTドコモは5月下旬から富士通製の「F1100」を利用してフィールド・トライアルを始める。その結果を踏まえ,早ければ今秋にも商用サービスを開始する。ただ,メニューと料金はまだ白紙。紛失・盗難対策は既存サービス「ビジネスmoperaあんしんマネージャー」と重複する部分もあり,調整が必要になる。料金は,同サービスの月額1050円(契約回線数で料金は変動,オプションを除く)が参考になる。