QWERTY配列のキーボードを備え,3.5型の横長液晶画面で,パソコン向けのWebサイトを快適に利用できる――ソフトバンクモバイルが2008年3月に発売した「インターネットマシン SoftBank 922SH」の売り物を一言で表せばこうなる。「インターネットマシン」との名の通り,Webサイトの閲覧やインターネット上のサービスの活用を第一に考えた端末である。本記事では,この端末を分解して判明したハードウエアの内部構造を紹介する。
分解の結果明らかになったのは,この端末と同様にシャープが開発した「FULLFACE2 SoftBank 921SH」などと共通の部品が非常に多いことである。921SH自体,他のシャープ製端末と同じ部品を多数使っており,共通化によって部品コストの低減を図っていることがうかがえる。それでも,インターネットマシンの販売価格は,新規契約時の一括払いで10万円弱と高い。価格を押し上げている一因は,部品点数の多さとみられる。
921SHとの違いの一つは,センサの部分である。インターネットマシンでは,端末を閉じた状態で電話の機能を利用可能にするために,「センサーキー」と呼ぶ仕組みを取り入れた。タッチセンサを用いて,筐体の一部を押すとボタンの代わりになる。921SHもタッチセンサを利用しているが,インターネットマシンにはない「なぞる」操作がある上,角速度センサを用いた「振る」操作も盛り込んでいる。
インターネットマシンと921SHを比べて浮き上がるのは,アプリケーション・プロセサや通信用LSIといった基本的なハードウエアは共通にしておき,キーボードや画面,センサなどを変えて,ユーザー・インタフェースに特徴を出した製品をつくる姿勢である。携帯型のインターネット端末ではユーザー・インタフェースで特徴を出すことが多く,こうした設計思想は合理的といえそうだ。
次ページ以降で,メイン基板の詳細,液晶パネル側の筐体にあるセンサ部,メイン・カメラ側の筐体にあるアンテナのそれぞれを紹介する。今回の調査でも,フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ(東京都江東区)の協力を得た(関連記事1,2,3)。
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