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 わずか2カ月半ほどで世界市場に向けて100万台を出荷─。パソコン業界で久々のヒット商品が登場した。台湾ASUSTeK Computer Inc.の「Eee PC 701」である。台湾や米国などでは2007年10月に,日本では2008年1月に発売された注1)。

 Eee PC 701は,2007年6月の発表時に,4GバイトのSSD(solid state drive)を搭載して299米ドルという目標価格が話題を呼んだが,米国発売時の価格は399米ドル。米国で流通するノート・パソコンの最安値より 100米ドル低いだけだった注2)。

 しかし,それでも売れ行きに影響はなかった。消費者は価格だけでなく,使い勝手などを評価した。ASUSTeK社がEee PC 701を開発した狙いは何か。低価格パソコンにどんな未来を描いているのか。


注1) Eee PC 701の日本版「Eee PC 4G-X」の実売価格は4万9800円。海外版ではOSにLinuxを搭載しているが,この機種はWindows XP Home Editionを採用した。「Linux版は日本語対応に時間がかかる」(ASUSTeK社のShen氏)ためだ。Linux搭載機は2008年4月ころに発売する予定。ASUSTeK社は,海外版にない特典を日本向け機種に三つ付けた。(1)液晶パネルに「ドット抜け」と呼ばれる不正な輝点があったとき,購入後30日以内ならば無償交換に応じる。(2)4GバイトのSDメモリーカードを添付する。SSDの容量不足を補うためだ。(3)公衆無線LAN サービス「Wi-Fine」を2008年5月末まで無料で利用できる。ASUSTeK社は2008年中に,日本でEee PCを60万台出荷したいという。ただし,これは同社グループによる生産が早期に世界の需要に追い付けば,という条件付きである。

注2) 例えばWal-Mart Stores社は,ノート・パソコン「NC1610」を498米ドルで販売している。NC1610は,FIC(大衆電脳)社系列のパソコン・メーカーであるEverex社が出荷している。同機種は,VIA Technologies(威盛電子)社のマイクロプロセサを搭載しており,HDDの容量は80Gバイト,主記憶は1Gバイト,液晶パネルは15.4型である。