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Windows CEで始める組み込み開発の基礎

日経BPソフトプレス

第11回 Windows CEの系譜と今後

ペガサスからヤマザキ,“Windows EC”まで

Windows CEのバージョンと開発コードネーム

 Windows CEが世に出てから10年以上がたち、そのバージョンもすでにWindows Embedded CE 6.0 R2まで進んでいます。

 最初のバージョンの開発コードネームはPegasusでしたが、その後のバージョンにも様々な開発コードネームが付けられています。それらは、その時々の事情によってネーミング規則に違いがあります。

 これまで公式に発表されたWindows CE およびその派生OS のバージョンと開発コードを並べてみます(表1,ただしインターネットなどで検索できるものだけに限定)。ベースとなっているWindows CEコアのバージョンとWindows Mobileなどのバージョンは、必ずしも一致していないことに注意してください(カッコ内はコアOSのバージョン)。

表1●Windows CEコアのバージョンと開発コードネーム
発売時期 バージョン 開発コードネーム
1996年11月 Windows CE 1.0 Pegasus
1997年9月 Windows CE 2.0 Alder
1998年3月 Windows CE 2.10 Alder EP
1998年7月 Windows CE 2.11 Birch
1999年9月 Windows CE 2.12 Birch SP2
2000年4月 Windows CE 3.0 Cedar
2002年1月 Windows CE .NET 4.0 Talisker
2002年6月 Windows CE .NET 4.1 Jameson
2003年4月 Windows CE .NET 4.2 McKendric
2004年7月 Windows CE 5.0 Macallan
2006年9月 Windows Embedded CE 6.0 Yamazaki
(注)Windows CE .NET 4.x だけに「.NET」が付く。

 表1のように、Windows CE 2.0からは、Alder(ハンノキ)、Birch(カバ)、Cedar(ヒマラヤスギ)と、木の名前でABC順に名付けられました。次のコードネームはDから始まるDougFir(Douglas Fir:ベイマツ)でしたが、Windows CE .NET 4.0からは、お酒(シングルモルト)シリーズに変更されました。そして、今回の連載で解説したWindows Embedded CE 6.0のコードネームは、お馴染みの「Yamazaki」が採用されました。

 次の表は、ハンドヘルドPC 系のバージョンとコードネームです(表2)。

表2●ハンドヘルドPC 系のバージョンとコードネーム
発売時期 バージョン 開発コードネーム
1996年11月 Windows CE 1.0 Pegasus
1997年11月 Windows CE 2.0 Mercury
1998年10月 Handheld PC 3.0(2.11) Jupiter
1999年9月 Handheld PC 3.1(2.12)
2000年9月 Handheld PC 2000(3.0) Galileo

 Windows CE 1.0のときは、ハンドヘルドPCとWindows CEコアOSに違いはありませんでした。それ以降は、Mercury(水星)、Jupiter(木星)、Galileo(木星の衛星)と変わり、惑星から衛星に鞍替えしたのが気になります。実際、Handheld PC 2000を最後に、正式なハンドヘルドPC用のバージョンは無くなってしまいました。

 表3はPocket PC、Windows Mobile系のバージョンとコードネームです。

表3●Pocket PC、Windows Mobile系のバージョンとコードネーム
発売時期 バージョン 開発コードネーム
1998年1月 Palm-size PC 2.01(2.0) Gryphon
1999年2月 Palm-size PC 2.11(2.11) Wyvern
2000年4月 Pocket PC 2000(3.0) Rapier
2001年10月 Pocket PC 2002(3.0) Merlin
2001年12月 Smartphone 2002(3.0) Stinger
2003年6月 Windows Mobile 2003(4.2) Ozone
2004年3月 Windows Mobile 2003 SE(4.2) Ozone Update
2005年5月 Windows Mobile 5.0(5.0) Magneto
2006年5月 Windows Mobile 6.0(5.0) Crossbow

 Pocket PC 2002までは、Gryphon(グリフィン:ギリシャ神話の怪獣)、Wyvern(飛竜)、Rapier(細身の剣)、Merlin(アーサー王伝説中の魔法使い)と、ロマンティックな名が続きました。その後は、Stinger(針)、Ozone(オゾン)、Magneto(高圧磁石発電機、それともX-MEN のマグニートか?)、Crossbow(石弓)と、関連性がよくわかりません。あえて言えば、Crossbowでギリシャ神話に戻ってきたのかもしれません。

 引き続いて、AutoPC、Windows Automotive系のバージョンとコードネームです(表4)。

表4●AutoPC、Windows Automotive系のバージョンとコードネーム
発売時期 バージョン 開発コードネーム
1998年1月 AutoPC 1.0(2.0) Apollo
1999年9月 AutoPC 2.0(2.12)
2000年10月 Windows CE for Automotive 3.0(3.0)
2001年12月 Windows CE for Automotive 3.5(3.0)
2003年4月 Windows Automotive 4.2(4.2)
2005年5月 Windows Automotive 5.0(5.0)

 開発コードネームはその開発チームが何らかの意味を込めて付ける場合が多く、その時の開発メンバーの興味の対象によっても変わってきます。特にUSのエンジニアはこの手の名前を考える才能に長けているようで、OSのコードネーム以外にも、名前の由来を知ってつい笑ってしまうものもあります。

 たとえば、もっとも初期の開発用プラットフォームとして提供されていたD9000では、[Platform]ディレクトリの「ODO」に配置されています。このODOは、スタートレックに出てくる「オドー(Odo)」の名前から来ています。D9000はマザーボードにCPUボードも含めて様々な拡張ボードの取り付けが可能で、いろいろな構成を取ることができました。スタートレックのオドーも自由にいろいろな物に姿を変えることのできる流動体生物で、そこからD9000をODOと名付けたという話です。

 他に「Saw(のこぎり)シリーズ」も有名です。これはAxe(斧)と同じく、OS(木)を加工する道具という意味が込められています。これについては、Mike Hallのブログにトピックがあります。

(伊藤 優)  [2008/05/14]
出典:「Windows Embedded CE 6.0組み込みOS構築技法入門」(日経BPソフトプレス 発行)  
(記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

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