「出会い系」「ネットいじめ」に代表されるように、ケータイ・コミュニティの匿名性が悪影響を与えているといわれることは多い。だが、互いの年齢や職業に影響されることなく、普段知り合えないような人達ともコミュニケーションできるというのも、ケータイ、ひいてはネット・コミュニティの匿名性がもたらす大きな特徴といえる。

 こと携帯サイトのコミュニティは元々未成年の利用が多かったことから、サービス自体バーチャル的要素が強く、知らない者同士で協力し合ったり、年齢や性別を超えて趣味を共有し合ったりするという、ネットならではの動向が多く見られる。そうした事例をいくつか紹介しよう。

バーチャルならではの楽しみ方である「しりとり」「ごっこ遊び」

 あくまで筆者の推測であるが、ことケータイ・コミュニティにおけるバーチャルならではの楽しみ方の代表的なものは「しりとり」と「ごっこ遊び」の2つであると思われる。

 「しりとり」は、多くの人がご存じの通り「リンゴ→ゴリラ→ラッパ…」と続く、あのしりとりである。ケータイSNSの多くのコミュニティには、ジャンルを問わずこの「しりとり」がちょっとした暇つぶし用として用意されていることが多い。

 ユニークなのは、バーチャルという特性を生かし、答える人の順番が決まっている訳ではなく、基本的に誰が答えてもいいということ。「たまたま暇な人」が答えていくので、参加者が多いコミュニティのしりとりなどは1分以内とかなりの頻度で更新される。その変化を見ているだけでも、バーチャルな暇つぶしとしてはなかなか楽しめるものだ。

 もう一つの「ごっこ遊び」とは、複数のユーザーがコミュニティ内で特定のキャラクターを演じて楽しむというもの。バーチャル色の強いSNSであるモバゲータウンを見ると、バーチャルキャラクターを演じるサークル(コミュニティ)が多く存在しており、ユーザーはさまざまなキャラクターを楽しんでいる。

 中でも人気が高いのが「家族や学校のサークル」(ディー・エヌ・エー 田中聡氏)であるという。家族であればお父さん、お母さん、子供やペットなどを主体的に演じ、学校であれば自分の考えた先生や生徒、さらには教頭や校長などを演じ、そのやりとりを楽しんでいる訳だ。他にもバーチャルで彼氏・彼女を演じ合うサークルや、「ホストクラブ」「あいのり」など、テレビやドラマ、アニメの影響を受けたサークルが見られるなど、そのバリエーションは非常に豊富だ。

出会い系サイトに関係した事件の検挙件   モバゲータウンで行われている「しりとり」
写真はQ&Aコーナーの「質問広場」で行われているものだが、しりとりメインのサークルなどもいくつか存在する
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