携帯電話を使いこなし、メールやWebサイトを積極的に利用する最近の若者たち。彼らの姿は、親世代から見ると理解し難い光景に映ることだろう。だが彼らが携帯電話の中で行っていることのほとんどは、これまでの若者が行ってきたごく日常的な事柄でしかない。
まずは、ケータイを利用する若者たちの日常的な姿を見ていこう。なお、本記事で使用する「若者」「若年層」とは、基本的に中学生以上で、今回のフィルタリング原則適用の対象となる20歳未満辺りとする(例外がある場合は記事中にてその旨を説明する)。
若者はパソコンも使うが、コミュニティはケータイで
はじめに、若者に携帯サイトのコミュニティがどのくらい定着しているかということを確認しよう。例として、ここでは携帯ホームページ作成サービス「魔法のiらんど」が運営する「アイポリス」が、ある中学校で携帯電話の安全利用に関する講演を行った際に、生徒に対して行ったアンケートの調査結果の一部を紹介する。
まず、質問「インターネットはケータイとパソコンのどちらを利用しますか?」の回答を見ると、「ケータイとパソコン両方」という回答が最も多く、ケータイ、パソコンのみという回答もほぼ拮抗している。これだけを見ると、携帯電話の利用に偏っている印象は見られない。
だが、コミュニティの利用に関する回答を見ると、その傾向が大きく異なることが見えてくる。「インターネット上で自分で会員登録をして作成しているものがありますか?」という質問の回答結果を見ると、約半数が会員制のSNSやプロフ、ブログといったコミュニケーション関連のサービスを利用している、ということが分かる。
ちなみにコミュニティサービスの利用率は年齢が高くなるに従って増加するようで、1年生では半数に満たないものの、3年生になると5割を超えるようになる。
さらに前の質問に関連して、「上記はケータイとパソコンどちらで作成していますか?」という回答を見ると、「ケータイ」という回答が、「パソコン」「ケータイとパソコン両方」という回答を大きく上回っている。
同様の傾向は他の中学校のアンケート結果からも見ることができた。一部の中学校のアンケート結果だけで全体を語ることはできないが、若年層がインターネットへのアクセス手段としてパソコンと携帯電話の両方を利用する一方、コミュニケーション関連のサービスに関しては携帯電話を中心に利用するという一つの傾向を見てとることはできるだろう。
●インターネットはケータイとパソコンのどちらを利用しますか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●インターネット上で自分で会員登録をして作成しているものがありますか? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●上記はケータイとパソコンどちらで作成していますか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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※ある中学校のインターネット利用動向アンケート(一部抜粋。魔法のiらんど提供) |
なお、このアンケートにはパソコン・携帯電話の所有の有無についての質問はなく、各個人が双方の機器をどれくらい所有しているかについては不明だ。
そこで参考資料として内閣府の「第5回情報化社会と青少年に関する意識調査報告書」を見ると、中学生は携帯電話・PHSを自分専用の情報ツールとし、ネット接続可能なパソコンは家族と一緒に使っているケースが大半であることが分かる(下表参照)。あくまで参考値ということにはなるが、こうした結果を合わせてみると、コミュニケーションサービスは家族で共有しているパソコンより、自由に使える自分の携帯電話で利用する傾向が読み取れるのではないだろうか。
●利用している情報機器(内閣府・第5回情報化社会と青少年に関する意識調査報告書より一部抜粋) | |||||||||||||||||||
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ちなみにアイポリスは別の中学校において、中学1年生とその保護者に対するアンケートも行っている。その中の「ケータイでよくアクセスするサイト名を教えて下さい」という項目では、保護者は「乗換検索」「時刻表」「グルメ情報」など数個程度のWebサイトしか挙げていないのに対し、中学生は「魔法のiらんど」「モバゲー」「グリー」「アメブロ(Amebaブログ)」など、非常に多くのWebサービスの名前を挙げている。こうしたことからも、携帯サイト上のサービスが若年層に深く根付いていることがはっきりとうかがえる。