開発●米IBM
URL●http://www-06.ibm.com/jp/software/data/db2express-c/

「ソフトウエアを作る環境を楽しくするお役立ちフリーソフト」を集めて,1日1本のペースでご紹介しています。今回は米IBMが開発したリレーショナル・データベース管理システム「DB2 9」を基にした無償版「DB2 Express-C」です。

 「DB2」は,米IBMが開発したリレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)です。もともとメインフレーム向けで,企業の大規模システムでも多くの実績を積んできた製品です。その後,UNIXやLinux,Windowsといったオープン系OSに移植され,中規模,小規模システムでも使われるようになりました。

 「DB2 Express-C」は,商用製品としてIBMが販売している最新版である「DB2 9」を基にした無償版です。CPU数や最大メモリー容量が制限されています。保証やサポートはありませんが,IBMのWebサイトにユーザー・コミュニティの掲示板が存在し,そこから様々な情報を得ることができます。Windows版のほかに,Linux版も配布されています。

 DB2 Express-Cの最大の特徴はXMLデータをそのまま格納する「pureXML」という機能を搭載している点です。これは,DB2 9から加わった新機能です。他社の商用RDBMSにもXMLデータの格納に対応している製品はありますが,実態はXMLデータを分解してデータベースのテーブルに格納するか,テーブル中の一つのカラムにXMLデータ全体を丸ごと格納しているだけで,完全にXMLに対応しているとはいえません。XMLデータを分解してテーブルに格納する方式には,XMLデータの構造(スキーマ)が変わるたびに,データを格納するテーブルの設計をやり直さなければならないという欠点があります。丸ごと格納する方式では,インデックスの作成が難しくなります。

 DB2のpureXMLでは,XMLデータをそのまま格納しながら,効率の良いインデックス作成を実現しています。スキーマを変更してもテーブル設計を変更する必要はありません。クエリー言語への対応も柔軟で,本来はリレーショナル・データベース向けの問い合わせ言語であるSQLでXMLデータにアクセスしたり,XMLデータ向けのXQueryでリレーショナル・データベースにアクセスできるようになっています。

 商用のRDBMS,しかももともとメインフレーム用だったと聞くと,とてつもなく大がかりなソフトで,扱いも難しそうと考える人がいるかもしれません。しかし,DB2はそんなことはありません。GUI管理ツールが充実しており,しっかりと日本語化されています。運用管理はオープンソースのRDBMS以上にわかりやすくなっています。

 DB2 Express-Cは学習用,評価用という位置付けのソフトウエアなので,サンプル・データベースを簡単に作成して,すぐに試用できるようになっています。「スタート」ボタンを押して「IBM DB2」の「ファースト・ステップ」をクリックすると,ウィザードの役目を果たすWebページが表示されます。そこで「データベース作成」の「SAMPLEデータベースの作成」をクリックすれば,すぐにサンプル・データベースの作成が始まります。あとは「コントロール・センター」を起動すれば,データベースを操作できます。テーブルの参照やSQL文の実行だけでなく,SQL文の実行プランの確認も可能です。このソフトで商用データベースの世界に触れてみてはいかがでしょうか。

●サンプル・データベースの作成   ●付属のGUI管理ツール
●サンプル・データベースの作成   ●付属のGUI管理ツール

●SQL文の入力,実行も管理ツールでできる   ●SQL文の実行プランも確認できる
●SQL文の入力,実行も管理ツールでできる   ●SQL文の実行プランも確認できる