ケータイの検索には、ドコモ公式サイト、au公式サイト、SoftBank公式サイト、Yahoo!モバイル、Googleモバイル、以上5つの世界がある。各検索エンジンは、検索対象となるウェブサイトの種類や検索結果に表示される件数が異なり、検索のアルゴリズム(順位決定の仕組み)も違う。各検索エンジンの仕様をまとめると下記のようになる。

ドコモ iMenu 検索サービス

利用可能端末:ドコモ端末

 2008年4月1日にトップページに検索窓が設置され、検索結果の1画面目には公式サイトが4件、一般サイトが4件、PCサイトが2件表示される。2画面目以降はぞれぞれ10件ずつ表示される。公式サイトの検索にはドコモオリジナルの検索エンジンが使われているが、一般サイトとPCサイトについてはGoogleのエンジンが使われている。また、検索結果の一画面目にはGoogleの提供するAdWords広告の枠が4枠、D2Cの提供するiMenu 検索連動広告が1枠表示される。

 2画面目にiMenu サイトの検索結果を選択した場合は上下にiMenu 検索連動広告が、その他ケータイサイト、PCサイトを選択した場合はAdWords広告が表示される。その他ケータイサイトの検索順位は概ね、Googleモバイルの検索結果に準じている。

KDDI EZweb検索サービス

利用可能端末:au端末

 2006年7月にGoogleと提携し、ポータルのトップページに検索窓を設置した。検索結果の1画面目には公式サイトが4件、一般サイトが3件、PCサイトが3件表示される。2画面目以降はぞれぞれ10件ずつ表示される。ただし、「着うた」を含むクエリの場合は公式サイトだけが表示されるようになっており、公式サイトが10件ずつ表示される。公式サイト、一般サイト、PCサイトの3つともGoogleのエンジンが利用されている。また、検索結果の一画面目にはGoogleの提供するAdWords広告が3枠表示され、2画面目以降には2枠表示される。

SoftBank Yahoo!ケータイ

利用可能端末:SoftBank端末

 2006年10月よりポータルの名称を「Yahoo!ケータイ」に変更した。ドコモ、auでは、公式サイト、一般サイト、PCサイト、それぞれ表示枠が3つに分かれている。それに対して、Yahoo!ケータイでは携帯サイトとPCサイトの2つの枠に分かれており、1画面目には携帯サイトが5件、PCサイトが2件表示される。また、携帯サイトの枠には公式サイトと一般サイトの両方が表示される。2画面目以降にはそれぞれ10件ずつ表示される。

 Yahoo!ケータイでは、1画面目に1位から5位が表示され、2画面目には1位から10位までが表示される。つまり、1位から5位のサイトは1画面目と2画面目の両方に表示されることになり露出機会が増える。また、広告にはOvertureスポンサードサーチが採用されており4枠表示される。

Googleモバイル

利用可能端末:ドコモ端末、au端末、SoftBank端末

 公式サイト、一般サイトの区別なく、クロールしたサイトがすべて検索対象になる。1画面目には、携帯サイトが5件、PCサイトが5件表示されるほか、検索キーワードに関連する画像・ニュース・エリア情報があった場合には、該当する検索結果が検索結果上部に最大3件表示される。Goolgeモバイルの検索結果はドコモ公式サイト、au公式サイトに提供されている。

 AdWords広告はPCサイトの表示枠の下に2件表示される。

Yahoo!モバイル

利用可能端末:ドコモ端末、au端末

 1画面目には携帯サイトが5件、PCサイトが2件表示される。Yahoo!ケータイ同様に、1画面目に1位から5位が表示され、2画面目には1位から10位までが表示される。また、SoftBank端末はYahoo!ケータイにリダイレクトされる仕組みになっており、Yahoo!モバイルにはアクセスできない仕組みになっている。このことは意外に知られていない。

 Overtureは検索結果と上と下に2件ずつ、計4件が表示される。

モバイルSEOで成功するには

 各端末と利用できるエンジンのマトリックスは次のようになる。

各端末と利用できるエンジンのマトリックス
エンジンDoCoMo端末au端末SoftBank端末
DoCoMo公式
au公式
SoftBank公式
Googleモバイル
Yahoo!モバイル

 モバイルSEOで成功するには、自社サイトが対策すべき検索エンジンが何かを明確にして取り組むことが大切だ。ドコモ公式サイトであれば、ドコモ iMenu 検索サービスとGoogleモバイル、Yahoo!モバイル。au公式サイトは、EZweb検索サービスとGoogleモバイル、Yahoo!モバイル。SoftBank公式サイトはYahoo!ケータイとGoogleモバイル。一般サイトであればGoogleモバイルとYahoo!モバイルを対象に最適化を行うことになる。

 auだけでなく、ドコモとも提携したGoogleは最低限対策しておくべき検索エンジンになるだろう。また、公式サイトがSEOを行うにあたり特に注意しなければいけないのはモバイル特有の「環境的要因」だ。公式サイトは通常、キャリア(ドコモ、au)のゲートウェイからしかアクセス出来ないように設定してあるが、一般サイト用のクローラーはキャリアのゲートウェイとは異なるIP帯域で動作している。キャリアと提携しているGoogleにおいても例外ではない。そのため、キャリアのゲートウェイだけではなくクローラーの動作しているIP帯域からのアクセスも受け入れなければ、そもそもクロールも行われず検索結果にも表示されない。

 また、ゲートウェイからのアクセスに限定することでセキュリティを保っている場合、すべてのネットワークからのアクセスを受け入れることによって、なんらかの不具合が発生する恐れもある。そのため、単純にすべてのネットワークからのアクセスを受け入れるというわけにもいかないだろう。IPアドレスによるアクセス制限以外にも携帯サイトの場合は、端末によるページの振り分けやCMSなどを使った動的なページ生成などアプリケーションのレベルでも対処が必要になるケースが非常に多い。

 単にSEOを行うといってもhtmlを修正すれば済むケースからCMSの仕様を抜本的に見直す必要のあるケースまでさまざまある。SEOのコンサルティングサービスは各社6ヶ月程度のコンサルティングを行うのが一般的だが、弊社では2ヶ月程度でサイトの問題点を分析し、システム面での対処が必要か、htmlの修正レベルで対処が可能かを診断するサービスも提供している。現行のシステムが検索に対応できているかどうか不安のある方は、まずは現状の診断からはじめることをおすすめしたい。

(執筆:モバイルグループ 中島 淑志)




 本コラムは、アウンコンサルティングのサイト 「(((SEM-ch))) 検索エンジンマーケティング情報チャンネル」に連載中の「SEM特撰コラム」を再録したものです。同サイトでは、SEOや検索連動型広告など検索エンジンマーケティング(SEM)に関する詳しい情報を掲載しています。

■変更履歴
「各端末と利用できるエンジンのマトリックス」の表で当初,「SoftBank公式」の「DoCoMo端末」と「au端末」の欄をいずれも「●」としていましたが,「-」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/04/21 17:00]