パソコンユーザーが長く待ちこがれていた、地上/BS/CSデジタル放送チューナーの単体販売が、2008年4月7日についに解禁された。これまでパソコンで地デジを視聴するには、地デジチューナーをあらかじめ内蔵したテレビパソコンを購入するか、解像度の低いワンセグチューナーで我慢するしかなかった。これからは、テレビ機能のない普通のパソコンでも、後から単体チューナーを購入することで地デジの視聴が可能になる。

 4月7日の解禁に伴い、複数のパソコン周辺機器メーカーが相次いで単体チューナーを発売予定であることを発表している。既にアイ・オー・データ機器やピクセラが正式表明しているほか、バッファローやエスケイネットなども準備を進めている。5~6月には各社の製品が店頭に出そろい、一挙に市場が広がることが期待できる。

 日経パソコンは、アイ・オー・データ機器が開発している製品「GV-MVP/HS」を試用する機会を得た。いち早く、製品の概要と使用感をレポートする。

2枚の基板を1スロット幅に集積

 まずはハードウエアから見ていこう。GV-MVP/HSは、デスクトップパソコン向けのPCI Express x1スロットに装着するボードである(図1)。PCIスロットではないことに注意したい。PCI Express x1スロットは、ここ2~3年の直販系のデスクトップパソコンにはおおむね備わっているが、それ以前の古いデスクトップ機や、大手メーカー製のデスクトップ機、省スペース型のデスクトップ機は備えていないこともあるので注意が必要だ。

アイ・オー・データ機器の「GV-MVP/HS」
図1 アイ・オー・データ機器の「GV-MVP/HS」[画像のクリックで拡大表示]

 アイ・オー・データ機器によると、「PCIスロットに装着する製品の開発も並行して進めており、ほぼ完成している。まずはPCI Express版のGV-MVP/HSを先行して投入するが、そのあとにPCIインタフェースの製品、USB接続の外付け型製品などを発売したいと考えている」と言う。今回は第1弾製品ということもあり、あえてパワーユーザー向けに絞り込むことで、トラブルを減らす意図があるとみられる。

 GV-MVP/HSの基板は2枚構成。チューナーモジュールや映像処理LSIなどを備えたメイン基板と、B-CASカードスロットを備えた基板に分かれている。2枚の基板はいずれも片面実装で、向かい合わせにして1スロット幅に収める。中核となる映像処理LSIには、オランダNXP Semiconductorsが開発したテレビパソコン向け統合LSIを採用しているようだ。

 実装密度が高いわけではなく、1枚に全部品を集積することも可能とみられるが、「2枚の基板を並べて配置することで、ボードの奥行きと高さを短くでき、他のパーツとぶつかって装着できなくなるトラブルを避けている」(アイ・オー・データ機器)と言う。GV-MVP/HSは地デジ専用なので、B-CASカードも地デジ専用のいわゆる「青カード」が添付される見込みだ(図2)。

2枚の基板を並べて配置することで、装着時に他の部品にぶつからないよう配慮した
図2 2枚の基板を並べて配置することで、装着時に他の部品にぶつからないよう配慮した[画像のクリックで拡大表示]