グリーンIT化の効果として、CO2排出の削減量を具体的に示す。これを実現させる手立ての提案活動を進めているソリューションプロバイダは多い。
日立製作所グループや富士通がそうだ。日立グループの日立システムアンドサービスは、15年前に出荷した文書管理システム「ラビニティ Millemasse」を、日立製作所が独自で開発した手法「SI-LCA」を使って、CO2削減量を測定。ラビニティを導入すれば「42.3%のCO2削減効果がある」とユーザー企業にアピールしている。
ここで売り込む商材は、文書管理システムやeラーニングシステム、POS(販売時点情報管理)システム、SCM(サプライチェーン・マネジメント)システム、GPS(全地球測位システム)などがある(図3)。いずれも以前からある商材だ。
図3●既存の商材によるCO2削減量を明示できれば、グリーンITソリューションとして提案できる |
「e文書法対応だけでは、ラビニティを売り込みにくくなっていたが、グリーン化の効果を定量的に示すことで、ユーザーの興味を呼び戻せそうだ」。橋本和広プロダクトソリューション本部主任技師は期待する。
富士通も独自の手法で、POSシステムやeラーニングシステムなどさまざまな商材について、CO2削減効果を定量化している。一見、直接関係なさそうな商材であっても、グリーンITソリューションとして売り込む。
量販店向けPOSシステム「GlobalSTORE!)」の導入効果について同社は、「30%のCO2を削減できる」と言う。30%という数字は、サーバーの集約によるIT機器の省電力化や、ペーパーレス化による効果などを細かく積み上げたものだ。
eラーニングシステム「Internet Navigware」に関しては、CO2排出量を93%も削減できると説明する。集合研修をやめ、地方拠点の社員を移動させる必要性をなくせば、交通機関の利用を激減させられる。
さらに教材の電子化でペーパーレス化も実現できる。これらによるCO2削減効果は絶大ということを、富士通はアピールしているのだ。
CO2排出量の削減効果を明確に打ち出すことで、古くなった商材の魅力を高める。こうした目論見もあり、各社はCO2削減量の見える化に熱心なのである。
さまざまな商材に“エコラベル”
日立と富士通の営業活動は、CO2削減効果の見える化だけにとどまらない。グリーンITソリューション事業を盛り上げるため、ハードやパッケージソフト、システム製品などに“エコラベル”を貼っている。何がグリーンITソリューションなのかを、ユーザー企業に周知徹底するためだ。
日立は、独自の「エコシール」を付けたパンフレットを作成。ユーザー企業に配布している。
富士通は「環境貢献ソリューション」認定制度を導入済みだ。CO2削減効果が15%以上あるものを環境貢献ソリューションとして、カタログに明記する。既に82件のソリューションが認定を受けているという。
「環境貢献ソリューションの引き合いは、ここ1年で確実に増えている」。富士通の朽網道徳 環境本部環境企画統括部長は言う。同社はこの流れを止めないように今後、年間数十件の環境貢献ソリューションを生み出していく計画だ。
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