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日経コミュニケーション

失敗続きの広域Wi-Fi計画,オープン化こそ成功への道

2008/05/09
出典:日経コミュニケーション 2008年4月1日号  115ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
英BTグループ テクノロジー&イノベーション
日本・韓国担当副社長
ヨン・キム 英BTグループ テクノロジー&イノベーション
日本・韓国担当副社長
ヨン・キム

 2005年5月,英フィナンシャル・タイムズは「都市は“空”に関心を向ける──ブロードバンド革命を目指して」と題する記事を掲載した。都市全体をカバーするWi-Fi(無線LAN)に注目が集まっている状況を記した記事だ。

 それから3年,欧米では都市のカバーを目指した広域Wi-Fiプロジェクトが数多く登場したが,現在はほとんどが失敗に終わっている。

 例えば米グーグルがかかわり期待も高かった,米サンフランシスコ市全域をカバーするWi-Fiプロジェクト。現在は規模を大幅に縮小し,尻すぼみ状態だ。英国ではロンドン中心部のイズリントン地域で広域Wi-Fiの実験が始まったが,事業を続けるためのビジネスモデルを描けず中止になった。台湾政府が7000万ドル(当時)を捻出し272平方キロメートルに及ぶ広大な地域に約1万のアクセス・ポイントを設置した台北市のWi-Fiプロジェクトもその後の進展は無い。最近私が同地を訪問したところ,人々の話題はモバイルWiMAXに移り,Wi-Fiは過去のものとして扱われていた。

フォンとBTはオープン化を推進

 これらのプロジェクトからは,広域をカバーするWi-Fiプロジェクトは成功しないという教訓が見えてくる。しかし判断を下すのはまだ早い。これまでの失敗を覆すようなアイデアを持ったプロジェクトが草の根で進行しているからだ。それが英フォン・ワイヤレスが進めるプロジェクト「FON」である。

 FONは他者に自らのWi-Fiアクセス・ポイントを開放することで,他者が開放するアクセス・ポイントを無料で利用可能になるオープンなWi-Fiコミュニティである。ユーザーの力によって自己増殖的にネットワークが広がる。これまでの広域Wi-Fiプロジェクトでは,事業者がアクセス・ポイントを設置する形であったため,その投資コストがネックになっていた。

 さらにFONは使えるエリアが広がるほど,ユーザーがコミュニティに参加するインセンティブが働く。既に欧州や米国,アジアの各地域にメンバーは広がり,コミュニティは50万人を超えるまでに成長した。

 英BTもフォンの取り組みに可能性を感じている。2007年秋にBTはフォンと提携し,世界最大級のオープンWi-Fiコミュニティを作り上げた。この提携によってBTのブロードバンド・サービスの加入者は,自宅のWi-Fiルーターの帯域の一部をFONコミュニティに開放することで,他のメンバーが開放する世界中のアクセス・ポイントを無料で利用できるようになった。現在では300万人を超えるBTのユーザーがこのような使い方をしている。

 オープンなWi-Fiコミュニティは,いつでもどこでもワイヤレス・ブロードバンドにアクセスできる,グローバルなネットワークを作る可能性があると思う。私は仕事で世界各地を飛び回ることが多いが,パソコンを開けばどこにいてもアクセス・ポイントを見付けられる。これらがオープンWi-Fiのコミュニティに参加すれば,世界の都市をカバーする広域Wi-Fiは現実になる。BTとフォンはそれを目指している。

ヨン・キム(Yung Kim) 英BTグループ テクノロジー&イノベーション 日本・韓国担当副社長
2月の英国はこれまでにないほど乾燥していて過ごしやすかった。良い季候は自然がもたらす貴重な贈り物である。環境と地球の保全は将来にわたる私たちの義務だろう。ITは多くの繁栄をもたらしたが,使われるエネルギーは年々増加している。私たちはよりグリーンなIT産業を目指して行動を起こすべきだと思う。

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