今回は,Rに関係する現場のストレス解消法を紹介する。取り上げるストレス解消法は大まかに,退社後・休日に行う方法と,主に勤務中に行う方法に分けられる。それぞれの方法を順に見ていこう。

帰宅途中で「休息モード」に切り替え

 退社後・休日に行うストレス解消法の一つ目は,仕事が終わったあと,意識して気持ちをリラックスさせ(Relaxation),「仕事モード」から「休息(Rest)モード」に切り替えることだ。

写真1●帰宅時に小説で休息モードに
写真1●帰宅時に小説で休息モードに
仕事のあとゆったりとした気持ちで休むには,気持ちを「仕事モード」から「休息モード」に切り替えることが重要である。シンプレクス・テクノロジーの若狭舞さんは,帰宅時の電車で小説を読み,休息モードに切り替えている

 シンプレクス・テクノロジーの若狭舞さんは帰宅時の電車で,決まって小説を読む(写真1)。最近のお気に入りは,北方謙三著の歴史小説「水滸伝」だ。

 「仕事に全く関係せず,面白くて入り込める本を選んでいる」と,若狭さん。小説に没頭することで一時的に仕事のことを頭から追い出し,リラックスした休息モードに切り替える。

 「小説を読むと,やりかけの仕事,会社であった嫌なこと,仕事上の悩みなどを一時的に忘れられ,家にまで引きずらずに済む。それに,仕事で高ぶったままの気持ちが静まるので,家でゆったり休める」(若狭さん)という。 若狭さんの場合,小説を読むことが“スイッチ”になって,休息モードに切り替わる。このように習慣的な行動をスイッチにすることが,休息モードに切り替えるコツのようである。

 不動産の総合情報サイトなどを運営するネクストで,システム部門のマネージャを務める田中信智さん(業務統括本部 情報システムグループ グループ長)は,別のスイッチを使う。それは,毎日退社する際に手帳をカバンの奥にしまい込むことだ。「手帳にはスケジュールやタスクを書き込んでおり,手帳のカバーが目に入るだけで仕事を思い出す。それを避けるため,手帳をカバンの奥にしまい込み,あとで多少気になっても見ないことにしている」(田中さん)。

 ソフトウエア開発会社であるサイバーテックの鈴木亮彦さん(ソフトウェア開発部 アプリケーション開発グループ プログラマ)は,衣服がスイッチだ。仕事でもカジュアルな服装が中心だが,上着やズボンだけでなく下着に至るまで,仕事用と休日用に分けている。「下着も含めて服を着る過程で,気持ちが仕事モードになったり休息モードになったりする」(鈴木さん)からだという。

 休息モードのスイッチは人それぞれ。ただし意識して毎日行うことで,効果が高まるようである。